技能実習制度は廃止すべきか? 解雇の金銭解決制度の是非は? 参院選・働き方巡る日本労働弁護団アンケート(下)

2022年7月6日 18時00分
 日本労働弁護団は参院選を前に働き方をめぐる様々な問題について各党にアンケートを行った。労働政策審議会で議論中の解雇の金銭解決制度については、反対する野党と、検討を支持する自民で考え方が分かれた。技能実習制度や長時間労働の是正策でも違いは鮮明。主要な項目を紹介する。公明、維新、NHK党はアンケートを送付したが回答がなかった。
(池尾伸一)

◆金銭解決制度導入 自民「丁寧な議論」立民など「必要ない」

 政府は解雇された働き手から申し立てを受けて、裁判所が不当解雇と判断すれば一定の金銭を会社に支払わせる「解雇の金銭解決制度」の導入を検討中。雇用政策の在り方を決める労働政策審議会で、議論が進められている。
 日本では、人員削減の必要性があり、解雇回避の努力が十分された場合以外には企業が一方的に労働者を解雇することは認められていない。このため金銭解決制度の導入については、連合などが「安易なリストラを助長しかねない」と反発している。
 同制度の導入について、各党の回答は二つに分かれた。
 立民、共産、国民、れいわ、社民は「必要ない」との立場。「解雇権の乱用を助長しかねない」(立民・国民)、「金銭支払いで特定の労働者を排除できることになりかねない」(れいわ)と主張する。
 一方、自民は「今後、労政審で丁寧に議論されるべきだ」として、検討を進めるべきとの見解だ。

◆技能実習制度 自民など廃止に反対、共産、れいわなど廃止主張

 外国人の人権侵害が多発している技能実習制度を廃止するかについては、自民が「制度の改善」が必要だが廃止には反対の立場。国民も「即座に廃止することは現実的でない」と答えた。
 立民、共産、れいわ、社民は廃止を主張。「廃止の上、労働者として身分保障を整えた新しい制度にすべきだ」(社民)、「外国人労働者が他の労働者と同等に保護される環境を」(立民)と回答した。

◆長時間労働をどう是正するか

▽勤務間インターバル(休息時間)の義務づけ
 勤務が終了してから、翌朝など次の勤務の開始まで一定の時間を空けることを企業に義務付ける方策は、欧州連合(EU)で定着している。日本では働き方改革関連法で義務づけは見送られ、「導入が望ましい」という努力義務にとどまっている。立民、共産、国民、れいわ、社民は義務付けを支持。「EU同様、11時間の義務づけを明記する」(共産)などを主張した。
 自民は「2019年4月から努力義務として導入されたばかり。まずは導入を促進すべきだ」と回答した。
▽時間外労働(残業)の上限規制
 働き方改革関連法では、時間外労働の月間の上限規制について「100時間未満」、2~6カ月平均で「80時間」以内と設定されたがこれらは過労死ラインぎりぎりであり、さらなる規制が必要との声が労働組合から根強い。
 上限規制を強化する政策について共産、国民、れいわ、社民は必要と回答。立民は「残業時間を含む総実労働時間の上限規制の遵守徹底を図る」と主張。2024年4月から年間残業時間上限が960時間となる自動車運転手についても「一般則である720時間とすべき」と主張した。
 一方、自民は現行ルールについて「適切に実施されるよう指導監督する」と主張する。
▽裁量労働制の対象業務の拡大
 裁量労働制は労働時間を実際に働いた実働時間ではなく、あらかじめ定めた一定時間にみなす仕組み。新商品・新技術の研究開発やゲームソフトの開発、記事の取材・編集など限定された職種だけに認められているが、さらに対象とする職種を拡げるべきとの主張もある。
 対象拡大について、自民は「丁寧に検討すべきだ」として選択肢になるとの立場。立民、共産、国民、れいわ、社民は反対する。社民は「労働時間管理がおろそかになり長時間労働が放置される」と主張。れいわは「対象業務を減らしていく」と答えた。
▽高度プロフェッショナル制度の是非
 高度プロフェッショナル制度は、専門能力をもつ年収1075万円以上の働き手について労働時間制限を上限をなくす制度。19年4月から解禁する法律が施行された。
 立民、共産、れいわ、社民が「廃止すべきだ」と主張。国民は「実態を踏まえ改革を行うべきだ」と回答。一方、自民は廃止には反対と回答。「労使協議の上、真に必要な者に対し有効活用すべきだ」と主張した。
▽給特法改正などによる教員の長時間労働防止策
 公立学校の教員の長時間労働は深刻な問題となっており、教員志望の学生も減っている。
 長時間労働の要因には公立学校の教員について、時間外勤務手当や休日勤務手当を支給しない代わりに、給料月額の4%に相当する調整額を支給することを定めた「給特法」もあるとされる。
 同法の改正や教員の増員などによる教員の長時間労働防止策について立民、共産、国民、れいわ、社民は「賛成」と回答。自民党は「2022年に改めて教員勤務実態調査を実施し、法制的な枠組みを含めて検討する」と回答した。

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