コロナ患者の優先いつまで? 医療機関「地域医療との両立厳しい」 経済界は「外食・旅行控え」を懸念

2022年7月5日 06時00分

腎臓内科の患者を診察する岡井隆広副院長(河北総合病院提供)



◆感染増加傾向 病床また増やさなければいけないのか…

 6月下旬、東京都杉並区の河北総合病院・分院では新型コロナウイルス感染症の専用病床43床のうち半数が空いていた。一方で、がんや脳梗塞などさまざまな患者がいる一般病床は、約300床のベッドがほとんど埋まっている。
 「一般病床への入院の受け入れを断ったケースもある。地域の総合病院として心苦しい」。岡井隆広副院長は顔を曇らせる。結局、7月1日にコロナ病床のうち22床を一般病床に転換させた。
 しかし都内のコロナ新規感染者は6月中旬を境に増加傾向にある。「入院要請が増えれば、またコロナ病床を増やさなければいけないのか」と悩む。

◆2類相当のままか、あるいは5類に引き下げか

 日本ではこの2年半、コロナの感染者と重症者の抑制に重きを置いた。感染者への入院勧告や濃厚接触者の自宅待機、緊急事態宣言、まん延防止等重点措置などさまざまな対策を実施。協力する医療機関や飲食店に多額の税金を投入した。治療費やワクチン接種は全額公費で負担。これらの適用を可能にしたのが、「2類相当」とされる感染症法上の位置付けだ。
 同法は感染症を危険度が高い順に1〜5類に分類。新型コロナウイルスはこれとは独立した「新型インフルエンザ等」に属するが、感染者に対する入院勧告や就業制限、発生の全数把握といった結核などの2類感染症に近い運用をしている。このため「2類相当」と呼ばれている。
 しかし、こうした強い措置は経済回復の足かせともなる。今年4月ごろから季節性インフルエンザと同じ5類感染症への引き下げを求める意見が、一部の首長や経済界から出始めた。
 5月17日、コロナ対策を検証する政府の有識者会議では、経団連幹部が「すでに正体不明のウイルスではない」とし、無症状感染者を法の適用外とすることや、保健所による積極的疫学調査の取りやめを提唱した。
 日本商工会議所の幹部も4月の調査で、飲食・宿泊業者の95%が「コロナの影響が続いている」と回答したことを紹介。「コロナ禍では外食や旅行は控えた方がよいという『コロナマインド』が国民にまん延している」と感染対策優先の政策からの脱却を求めた。
 政府はいまだに中長期的なコロナの「出口戦略」を示せない。主要政党も参院選でのコロナ対策の公約は「司令塔機能の強化」や「ワクチン開発の推進」など似通う。唯一、日本維新の会は「5類感染症への変更」に踏み込んだ。
 岡井副院長は「コロナは若い人でも重症化する人がいる、怖い病気。院内感染のリスクも高く、5類にするのはまだ現実的でない」としつつ、「コロナばかりに医療資源を投入し続けていいのか」と疑問もある。「参院選では、経済を回すためにどのような感染対策が必要なのか、コロナ医療と地域医療をどのように両立させるのかなど、幅広い視点で議論してほしい」と願う。(原田遼)

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