ウクライナ侵攻と新型コロナが生んだ物価高 超低金利政策で円安追い打ち、生活を直撃 参院選の大きな争点

2022年7月5日 06時00分
 ロシアのウクライナ侵攻や新型コロナウイルスといった世界の混乱が、物価を押し上げている。日米の金融政策の違いが招いた円安は物価高に拍車をかけ、参院選の大きな争点となっている。(皆川剛)

◆年末までに1万品目超が平均13%上がる見通しも

 日本の5月の消費者物価指数(生鮮食品を除く)は前年同月比で2.1%上昇した。食用油(同36.2%)や、電気代(18.6%)やガス代(17%)など生活必需品の上昇幅が大きい。
 物価高の直接の原因はウクライナ情勢だ。世界の原油の12%を生産していたロシアへの経済制裁が影響し原油の供給が減少。昨年来の原油高を加速させ、物流費や包装費などの上昇にもつながっている。
 ロシアとウクライナで世界の輸出量の3分の1を占める小麦、2割を占めるトウモロコシの供給も滞る。パンやパスタなどが値上がりし、餌の高騰で食肉にも影響が及んでいる。
 コロナ禍で止まっていた経済活動の再開で需要が増えたが、供給が追いつかず物価を押し上げた。「ゼロコロナ」を目指す中国が上海市などを封鎖し、半導体や工業製品の供給が滞ったことも物価高を招いた。
 こうした事情は世界共通だ。さらに日本では急速な円安の進行で、輸入品が値上がりしている。
 背景には、日米の金融政策の違いがある。米国は激しいインフレを抑えようと、何度も利上げする一方、景気対策を重視する日本は金利を低く抑えている。為替は金利が高い通貨が買われる傾向があり、対ドルの円相場は3月以降、約20円も円安が進んだ。
 今後も食品やエネルギーを中心に物価高は続き、帝国データバンクによると、年末までに1万品目超が平均13%上がる見通しだ。
 参院選では補助金や消費税減税といった物価高対策が目立つが、一時的な効果しか期待できない。国の借金も膨らむ。今回の参院選は各党の経済成長戦略を見定める選挙にもなる。

◆コメや旬野菜優先的に購入…消費生活アドバイザーの乗り切り策は

 賃金がなかなか増えない中で、どう節約し、物価高を乗り切っていけば良いのか。消費生活アドバイザーの丸山晴美さんに聞いた。

丸山晴美さん

 丸山さんはまず通信費など固定費の見直しを勧める。例えば動画配信など各分野で広がるサブスクリプション(定額制)などだ。子どもの習い事も親子で話し合い、「何を優先するか決めてほしい」。ただ、格安スマホへの乗り換えは手間がかかるほか、使い勝手が悪くなるケースも。「まずは使っている会社の料金プランを見直して」と話す。
 食費はどうか。丸山さんは、値上がりが激しい食品として小麦と油を挙げ、「コメや旬の野菜、肉を優先的に」購入することを勧める。肉や魚は買ったらすぐに焼き肉のたれや塩こうじ、みそなどで下味をつけ冷凍すれば、焼くだけで食べられるため、総菜購入や安易な外食も避けられる。
 買い物の頻度も重要で、「献立を考えやすい、3日に1回がお勧め」と丸山さん。週に1度まで減らしてしまうと、食品ロスを発生させないよう献立を工夫する難易度が上がるためだ。
 ただ節約ばかりでも疲れてしまう。なぜ節約するか、旅行や買いたいものなど「目標」を明確にすることを勧める。「物価高を家計見直しのチャンスと捉え、楽しみながら無駄を省いてほしい」。(並木智子)

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