「死の商人 日本にいらない」 幕張で武器見本市 市民ら抗議の声

2019年11月19日 02時00分

「武器見本市はいらない」と書かれた横断幕を掲げる市民団体のメンバーら=18日、千葉市美浜区のJR海浜幕張駅前で

 総合的な防衛装備品の見本市「DSEI JAPAN 2019」が十八日、千葉市美浜区の幕張メッセで開かれ、日本企業や海外企業約百五十社が出展した。二〇一四年に安倍政権は「武器輸出三原則」を撤廃し、原則解禁する「防衛装備移転三原則」を閣議決定してから、武器輸出の動きは加速。「平和国家」を標榜(ひょうぼう)する国で繰り返される武器見本市に、批判が上がっている。
 見本市の会場入り口ではこの日、約四百十人の市民らが集まり「武器はいらない」と訴えた。
 呼び掛けたのは市民団体「幕張メッセでの武器見本市に反対する会」と「安保関連法に反対するママの会@ちば」。会場最寄りのJR海浜幕張駅南口前でも「武器見本市はいらない」と書かれた横断幕を掲げた。二十日までの開催期間中、抗議活動を続けるという。
 見本市は、英国・ロンドンで二年に一度開催される世界最大級の武器見本市で、英国外での開催は今回初となる。日英両政府が支援し、三菱重工業や川崎重工業などの国内メーカーも参加。開催前に学者や市民らが反対の共同声明も発表していた。ママの会メンバーの金光理恵さん(56)=千葉県船橋市=は、抗議活動で「憲法の平和主義の精神に照らし合わせ、いかなる武器の売買も日本国内で行われてほしくない。『死の商人』はいらない」と語った。
 海浜幕張駅を通りかかった船橋市の会社員三橋和夫さん(63)も「武器見本市が最近になり、なぜ何度も開かれるのか。日本の防衛装備庁も出展しているというが、もっと暮らしに寄り添った税金の使い方をしてほしい」と疑問を投げ掛ける。
 幕張メッセが武器見本市の会場となるのは、二〇一七年と今年六月に「MAST Asia」が開かれたのに続き三回目。ママの会と反対する会は、施設を所有する県に対しても、貸し出し中止を求める署名を提出。県の担当者は「公の施設は正当な拒む理由がない限り貸し出す。(武器見本市の開催は)県の設置管理条例に違反していない」としている。(山口登史、中谷秀樹)

政府が支援する防衛装備の見本市では防衛装備庁が陸上自衛隊の10式戦車も出展=18日、千葉市で

◆産業強化狙い禁断の領域に

 日本の武器等の輸出を巡る方針は第二次安倍晋三政権の発足以降、大きな転換を見せてきた。
 一九六七年、当時の佐藤栄作首相が、共産圏や国連決議により輸出が禁止されている国、国際紛争の当事国などへの武器輸出を認めない「武器輸出三原則」を表明。厳しい制約を課してきた。
 だが、安倍首相が政権に復帰した後の二〇一四年に新たな「防衛装備移転三原則」を策定。移転を禁止する場合の明確化や、認める場合の限定や情報公開などをうたったものの、輸出を原則解禁。当初もくろんだオーストラリアへの潜水艦輸出は実現しなかったものの、一七年にフィリピン海軍に海上自衛隊が使用した練習機「TC90」を貸与している。一五年に横浜で武器展示会が開かれるなど、国内での武器見本市の開催も活発化している。
 こうした動きの背景には、供給先が国内に限られる防衛産業界の意向があるようだ。経団連は一五年、防衛装備品の海外移転を「国家戦略として推進すべきだ」と提言している。河野太郎防衛相は先月、都内で開かれた防衛政策などを議論する経団連の会合に出席。
 その後の記者会見で河野氏は「海外からも情報提供の要望があるようなものについては、装備品の移転ということも視野にきちんと入れていく必要がある」と理解を示した。
 金子勝・立教大大学院特任教授(財政学)は「国際的な産業競争力の低下が深刻になり、禁断の領域に手を突っ込んだ印象。ただ、武器輸出の分野だけ競争力があるわけではない。日本の産業の現状はもっと厳しく、政府の思考そのものが遅れている」と、武器輸出に前のめりな姿勢を危ぶんだ。 (荘加卓嗣、布施谷航)

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