渡辺宙明さんを悼む 子ども心を持ち続けた人

2022年7月5日 07時42分

卒寿コンサートの準備に余念がない渡辺宙明さん(右)。左は孫のマコ・プリンシパル(2015年8月撮影)

 「AKB48は僕の好みに合う。少し昔風だけどオーソドックス」。九十歳を迎えた人の言葉と思えず、感心して聞き入るしかなかったことを覚えている。「マジンガーZ」「秘密戦隊ゴレンジャー」などアニメや特撮ドラマの音楽で知られ、六月二十三日に心不全のため九十六歳で亡くなった作曲家渡辺宙明(わたなべ・ちゅうめい、本名=みちあき)さんは、晩年まで映像音楽を作り続けた。
 旧制中学時代、級友が持っていたハーモニカで音楽に触れ、親と見た映画から作曲家を志した。戦時の暗い時代にピアノや声楽を学んだ。シンセサイザー「ミニモーグ」の発売が契機になり、特撮ドラマ「人造人間キカイダー」(一九七二〜七三年)の音楽づくりに駆使。続く「マジンガーZ」もヒットした。「子どもの映像音楽は反響が違う。空想の世界を描く音楽を自由にやれて、やりがいがあった」
 歯切れよく楽しい「宙明サウンド」はワクワク感をメロディーに乗せ、子どもたちの空想を膨らませ、この分野の第一人者に。「画面を支え、盛り上げて結果的に皆の心に響くものでないと」と四十年、五十年たってもリバイバルの声がかかる曲作りを目指した。
 二〇一五年八月、「卒寿記念コンサート」が開かれた。アイドルユニットで活動していた孫娘に、歌って踊れる新曲をプレゼント。作曲家の長男も登壇し、会場の拍手は鳴りやまなかった。九十歳当時の宙明さんは当たり前のように流行歌をチェックし、携帯端末など最新機器も道具として使いこなしていた。いつまでも子どもの心を持ち続けた作曲家だった。 (編集委員・五十住和樹)

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