選択的夫婦別姓の実現へ「国民の声聞いて」 婚姻届を不受理とされた想田さん、柏木さん

2022年7月5日 12時00分
千代田区役所に婚姻届を提出するも不受理となり、記者会見する想田和弘さん(左)と柏木規与子さん=6月13日、東京都千代田区で

千代田区役所に婚姻届を提出するも不受理となり、記者会見する想田和弘さん(左)と柏木規与子さん=6月13日、東京都千代田区で

 夫婦別姓を希望し、東京都千代田区に婚姻届を不受理とされた映画監督の想田和弘さん(52)=岡山県瀬戸内市=と、妻で映画プロデューサーの柏木規与子きよこさん=同=が4日、東京家裁に不服を申し立てた。「(以前より)選択的夫婦別姓への関心が高まっている」と感じている想田さんは、国会議員に向けて「同姓も別姓も選べる社会を実現してほしい」と訴える。(奥野斐)
 「4年前と世論が全然違う」。結婚後もそれぞれの姓を名乗るとする婚姻届を千代田区に提出し、不受理となった先月13日、想田さんと柏木さん夫妻は、詰めかけた報道陣を前に感慨深げに語った。2018年、同様の婚姻届を区に出した際は夫妻と弁護士だけだったという。
 2人は1997年、米ニューヨーク州で夫婦別姓を選んで結婚した。長く米国で暮らし昨年、帰国。柏木さんは「ニューヨークでは自分の名前でのびのびと仕事をしていた。だけど、日本では『柏木です』とあいさつしても『想田さん』と呼ばれる。男性優位、ジェンダーの不平等をひしひしと感じる」と話す。
 保険など、戸籍で夫婦だと証明できないために手続きの度に問い合わせが必要で、今後、どちらかが亡くなった時の相続などに不安が募るという。
 4年前、婚姻届が不受理となり、2人は婚姻関係の確認などを求めて東京地裁に提訴。昨年4月の判決で「婚姻自体は有効に成立している」と認められたため、再び婚姻届を出したが、またも不受理になった。想田さんは「結婚しているのに戸籍上は独身扱い。婚姻の事実を戸籍で把握できない状況は問題ではないか。この矛盾を正して」と求める。
 希望する夫婦が別姓を選べる「選択的夫婦別姓制度」は96年、法相の諮問機関である法制審議会が制度導入の民法改正案を答申。ところが、自民党国会議員らが反対し、国会提出が見送られた。以来、法制化に至っていない。
 現状を憲法違反とする訴訟が相次ぎ、2015年には最高裁が夫婦同姓規定を「合憲」と初判断した上で「制度のあり方は国会で論じ、判断すべきだ」と見解を示した。衆院法務委員会では18年、法務省の担当者が「夫婦同氏(姓)制を採用している国は把握している限り日本以外にない」と答弁している。
 今回の参院選では、公明党、立憲民主党、共産党、国民民主党、れいわ新選組、社民党が選択的夫婦別姓制度の実現を公約などに記載。日本維新の会は独自の制度を掲げ、NHK党も公約で言及している。
 国会議員に対し「国民の声を聞いてください」と柏木さん。想田さんは「僕らが求めているのは、夫婦同姓にしたい人は同姓に、別姓にしたい人は別姓を選択できること。違いをお互いが認め、尊重していく、そういう社会を実現していきませんか」と問いかける。

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