詐欺事件あったJR無料パス、未返却の元衆院議員はほかにも...前回落選、不出馬の1割超

2022年7月6日 06時00分
 現職の国会議員が職務の際に全てのJR線を無料で利用できる「鉄道乗車証」(通称・JR無料パス)について、昨年10月の前回衆院選で落選したか、立候補しなかった元議員の1割以上が紛失届を衆院事務局に提出し、返却していなかったことが分かった。パスの購入費は国費で賄われ、議員でなくなった際の返却が法律で義務付けられている。(伊藤隆平)
 パスは「国会議員の歳費、旅費及び手当等に関する法律」の第10条で「各議院の議長、副議長及び議員は、その職務の遂行に資するため」に交付を受けるとされている。このため、衆参両院の事務局が、選挙に落選したか、立候補しなかった元議員に返却を求めているが、紛失や未返却に対する罰則はない。
 本紙が衆院事務局に開示請求したパスの返却状況の資料によると、前回衆院選で落選したか、立候補しなかった計101人のうち、13.86%に当たる14人が紛失届を提出し、返却していなかった。元議員の名前は黒く塗られて非公開だったが、それぞれがパスを返却したか、紛失届を出したかどうかが記載されていた。
 2017年の前々回衆院選で落選したか、立候補しなかった元議員についても返却状況の資料が開示され、83人のうち9.64%に当たる8人が紛失届を提出していた。
 衆参の両事務局は任期中でも毎年度末にパスの返却を求め、新年度に新たなパスを交付している。衆院事務局によると、17~21年度末で紛失した衆院議員は返却対象者の0.5~2.27%だった。
 JR無料パスを巡っては今年5月、未返却のパスを使って現職の国会議員に成り済まし、東海道新幹線の特急券とグリーン券をだまし取ったなどとして、有印私文書偽造・同行使と詐欺容疑で、元衆院・参院議員で立憲民主党岐阜県連の常任顧問だった山下八洲夫被告(79)が逮捕、起訴された。山下被告は08年度分のパスについて、09年3月に紛失届を出していた。

◆グリーン車もタダ 予算は5億2000万円

 JR無料パスは衆参両院がJRから購入し、希望する議員に交付している。衆院では、2021年度分で3億3600万円の予算が計上され、議員定数465人に対して403人に交付された。
 22年度分の予算額は衆参両院で計約5億2000万円。両院の事務局は本紙の取材に対し、交付した人数を明らかにしなかった。
 議員は、パスを改札で示すと列車に乗ることができ、グリーン席を含む指定席にも、申込書を記入すれば乗車できる。1947(昭和22)年制定の国会法に、公務で旧国鉄の列車に無料で乗車できることが明記されたのが始まりで、JR発足後の88(昭和63)年から現在のパスが交付されている。

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