投票率「日本一」へ国分寺の若者ら挑戦 期日前は堅調「有権者の苦しみにもっと目を」

2022年7月6日 06時00分
 10日投開票の参院選で、東京都国分寺市の若者らが、市の投票率を「日本一」に押し上げるプロジェクトを進めている。その一環で、堅調な出足となっている期日前投票(9日まで)の案内も行う。投票率の向上は、政治を変えるきっかけになるとの思いからだ。メンバーは「多くの人が政治を見つめていることを高い投票率で示せば、政治家も幅広い民意に向き合おうとするはずだ」と語る。(大野暢子)

東京都国分寺市の投票率日本一を目指す取り組みを話す鈴木弘樹さん(中)らプロジェクトのメンバー=同市で(中西祥子撮影)

 プロジェクトが始まったのは2年前。会社員の鈴木弘樹さん(23)は、友人が奨学金返済や生活費を稼ぐためのアルバイトに疲れ、自死を考えるほど追い詰められる姿を見た。「困った人に手を差し伸べるのが政治のはず。有権者の苦しみにもっと目を向けてほしい」と、知人ら約20人と投票率向上につながる活動を始めた。
 鈴木さんらの試算では、国分寺と同等以上の有権者がいる全国361の自治体のうち、昨年の衆院選の投票率1位は新潟県上越市で66.13%、国分寺は12位の62.37%だった。
 プロジェクトでは選挙に関心を持ってもらうため、市内十数カ所の商店などで駄菓子の人気を競う模擬投票を行う。10日夜、市内のカフェで開票しながら、選挙特番を見る計画もある。
 今回の参院選では3日までに約778万人が期日前投票を済ませ、前回2019年の同時期の1.23倍(前回は10日間分、今回は11日間分)。期日前投票所は公共施設の他、商業施設にも設置され、入場券を忘れても投票できるなど利便性が向上している。
 鈴木さんらは8、9両日、JR国分寺駅前にコーヒーの屋台を設け、近くの期日前投票所を案内し、政治談議を楽しむ場にする予定だ。鈴木さんは「政治を身近に感じ、買い物帰りなどに投票する人を増やしたい」と力を込める。

◆投票率上がれば「政治は変わる」

 10日投開票の参院選では、下落傾向が続く投票率にも注目が集まる。2019年の前回選は過去2番目に低い48.8%(選挙区)だったが、今回は期日前投票(9日まで)が堅調で、最終的には上向く可能性もある。専門家は「投票率が上がれば、政治は変わる」と投票参加を促している。
 投票率が上がった近年の主な選挙を振り返ると、選挙結果が事前の予想と異なったケースも少なくない。
 05年衆院選は、小泉純一郎首相(当時)が郵政民営化の賛否を問うとして、衆院を解散。当初は劣勢とみられたが、小泉氏は民営化に反対の候補を自民党公認とせず、民営化に賛成の公認候補を次々と立てて注目を集めた。投票率は前回選に比べて7.7ポイント増の67.51%に上昇し、自民党が大勝した。
 16年の新潟県知事選では、原発再稼働の是非を主な争点に新人4人が立候補。前回選を9.1ポイント上回る53.05%となり、野党推薦の新人が乱戦を制した。今年6月の東京都杉並区長選も投票率が前回選を5.5ポイント上回り、野党推薦の候補者が現職の4選を阻んだ。
 有権者の投票行動に詳しい関西学院大の冨田宏治教授は、民主党(当時)が政権交代を実現した09年衆院選や、首長主導で進んだ「大阪都構想」を否決した大阪府の住民投票を例に挙げ、「普段は投票に行かない層が投票に向かえば、与野党が逆転したり、与党が政策の撤回に追い込まれたりする」と指摘する。
 その上で、投票率アップの鍵は、政治に失望して投票しない「投票棄権層」に加えて、暮らしに余裕がなく政治に目を向けられない有権者が投票することにあると分析。「本来は政治の被害者とも言える人が投票に参加しなければ、一部の支持者向けの政治が続くことになってしまう」と語った。(大野暢子、我那覇圭)

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