北欧2国、NATO加盟の署名完了 32カ国体制へトルコ批准が焦点に

2022年7月5日 20時44分
記者会見に臨んだフィンランド、スウェーデンの各外相とNATO事務総長=5日(AP)

記者会見に臨んだフィンランド、スウェーデンの各外相とNATO事務総長=5日(AP)

 【ロンドン=加藤美喜】北大西洋条約機構(NATO)の全30加盟国は5日、フィンランドとスウェーデンの北欧2国のNATO加盟議定書への署名式をブリュッセルで行った。今後は各国で批准手続きに移り、完了すればNATOは32カ国に拡大する。ただ、トルコは批准を巡り、北欧2国と交わした「テロ容疑者」の引き渡しを含む覚書の履行を求めており、影響が懸念されている。
 署名式にはスウェーデンのリンデ外相とフィンランドのハービスト外相が立ち会う中、各国のNATO大使が国名のアルファベット順に議定書に署名した。
 5月18日の両国の加盟申請から約1カ月半での署名完了は、異例のスピード。終了後の記者会見で、ストルテンベルグ事務総長は「歴史的な瞬間だ。両国の加盟でNATOはさらに強化される」と歓迎。両外相も全加盟国に対する謝意と貢献の決意を述べ、「速やかな批准手続きを期待する」と要請した。
 トルコは、自国がテロ組織に指定するクルド労働者党(PKK)への支援などを理由に両国の加盟に反対していたが、マドリードでのNATO首脳会議直前の6月28日、両国がトルコのテロ対策の要望を受け入れたとして一転、加盟に同意した。
 この際、北欧2国はトルコと覚書を締結。PKKを「非合法テロ組織」と認定し、トルコが要求する「テロ容疑者」の引き渡しに迅速に対処するとした。
 覚書を巡り、トルコのエルドアン大統領は30日の首脳会議終了後、「スウェーデンは73人のテロリストを引き渡すと約束した」と発言。約束が守られなければ、批准しない可能性を示唆した。
 署名式後の記者会見では、この「約束」に対する質問が集中。リンデ氏は「覚書には人数やリストなどは書かれていない」とし、テロとの戦いは「国内法と国際法にのっとって対処する」と述べた。政府はこれまで、「スウェーデン国民はトルコに引き渡されない」との立場を表明している。
 北欧2国では、覚書がトルコの人権抑圧への加担につながるとの懸念も出ており、大統領選を来年に控え、成果を得たいエルドアン氏とどう向き合うかが課題となる。

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