憲法改正か護憲か 緊急事態条項や9条で分かれる見解 改憲勢力3分の2維持かが焦点に

2022年7月5日 21時01分
参院選「公約点検」 ⑧憲法
 ロシアによるウクライナ侵攻を受け、通常国会では憲法に緊急事態条項を創設するかどうかの議論が活発に行われた。自民党は公約で、緊急事態条項の創設や自衛隊明記など党改憲4項目について「国民に改正の必要性を説明し、憲法改正を早期に実現」と明記した。
 国会審議では緊急事態条項の具体的な内容として、大規模災害時などに議員任期が満了する場合に備え、任期延長を明記すべきだという意見や、内閣が国会の関与なく法律に相当する「緊急政令」を制定できるようにすべきだーなどの意見が出された。
 緊急事態条項を巡っては、自民に加え、日本維新の会、国民民主党が賛成している。これに対して、立憲民主党、共産党、れいわ新選組、社民党は反対の立場だ。
 立民は公約に緊急事態条項について記載していないが、衆院憲法審の議論では、任期満了時に衆参の選挙ができなくても参院の緊急集会などで対応可能で、議員任期延長のための改憲は不要と主張。緊急政令も人権の制限につながりかねないとして反対した。公明党は任期延長について「議論を積み重ねる」。緊急政令については「政令委任できる範囲をあらかじめ法律の中に規定すべきだ」といずれも慎重な立場を示す。
 9条を巡っては、自民、維新がともに自衛隊を明記するよう公約に掲げた。
 国民は公約に「これまで9条が果たしてきた役割にも配慮」としながら「具体的な議論を進める」と記載した。公明は9条1項、2項を「堅持する」と明記。自衛隊明記は「引き続き検討を進める」とした。
 立民は9条に自衛隊を明記する自民案について「前法より後法が優先するという法解釈の基本原理が働き、戦力不保持・交戦権否認を定めた9条2項の法的拘束力が失われる」として反対。共産、社民、れいわも反対している。
 緊急事態条項や9条に限定せず、改憲の是非でみると、自民、公明、維新、国民、NHK党が前向きで、立民、共産、れいわ、社民が慎重な立場だ。
 衆院では自民、公明、維新、国民などの改憲勢力が改憲の国会発議に必要な3分の2以上の議席を握る。参院選で与党が過半数を維持した場合、岸田文雄首相にとって衆院を解散しない限り、2025年参院選まで大型の国政選挙がない「黄金の3年間」を迎える。改憲に意欲を見せる首相には、自らの政策課題に取り組みやすい環境が整うだけに、改憲勢力が参院選で非改選も含めて、3分の2の議席を維持するかどうかが改憲論議に大きく影響する。(佐藤裕介)

おすすめ情報