三島の「源兵衛川」 名物ホタル激減の危機 市が先月、産卵期に草刈り

2022年7月6日 08時22分

源兵衛川中流部を飛ぶゲンジボタル (2016年5月撮影、グラウンドワーク三島提供)

 静岡県三島市中心部を流れる「源兵衛川」で生息数を増やしてきたゲンジボタルが、市の担当部署の連絡不徹底が原因で、激減のピンチを迎えていることが分かった。例年は回避している六月の産卵時期に市が両岸の草刈りをしたため、卵が大量に踏みつぶされた可能性がある。市民に親しまれてきたホタルが消えてしまいそうな危機に、市の担当者は猛省している。(渡辺陽太郎)
 市によると、草刈りは六月二十二日午後、委託業者の作業員五人で実施。市民や観光客から伸びた草が景観を損なうという苦情を受け、同市南本町周辺など流域約四百メートルの草を刈った。慣例となっていた保全活動に取り組む団体への事前連絡はしなかった。
 川の保全や再生に取り組むNPO法人グラウンドワーク(GW)三島の渡辺豊博専務理事によると、ホタルは六月上旬に産卵のピークを迎え、ふ化した幼虫が定着するには数カ月かかる。GWやほかの団体は例年、影響を避けるため十月以降に草刈りを実施してきた。市も年三回草刈りをしているが、産卵期からふ化後の影響が少ない九月頃までは実施しないようとするGWなどの要請に従ってきた。市の作業にはGWなども立ち会っていた。
 今回の失態について、市水と緑の課は四月の人事異動で担当職員が交代。その際、文書で引き継ぎをせず、現担当者は慣例を知らずに草刈りを決めてしまったという。GWなどの要請は別の課に提出したため、連携不足で同課は要請も知らなかった。入札により草刈りの業者も変わり周知徹底できなかった。宮島康一課長は「不安な思いをさせてしまい反省している。作業の時期や業者変更時の対応などを明文化する」と話した。
 ホタルの飼育は市民らにより、一九九〇年代に本格化。水質悪化が問題となっていた源兵衛川を清流として再生させ、「ホタルの舞う川」としても親しまれるようになった。
 GWの記録では二〇一四年の延べ約千二百匹から今年は約三千三百匹に増えた。エサ不足に対応するため、昨年は下流でえさとなる貝のカワニナを採取し、ホタルが多く生息する上中流域に放した。今年はそうした効果もあり昨年比で約七百匹増えたという。
 GWインストラクターで十年以上、ホタルの保護活動に取り組む山口東司さん(80)は「やっと手応えを感じ始めたのに。水と周辺の自然、生物は三島の宝だ。なぜ起こったか、市はしっかり検証してほしい」と肩を落とす。

草刈り前の源兵衛川

草刈り後の源兵衛川=いずれも三島市で


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