中国への制裁関税はどうなる?バイデン政権が週内にも判断 中間選挙にらみ「弱腰」批判回避か

2022年7月6日 20時29分
 【ワシントン=吉田通夫、北京=白山泉】バイデン米政権は週内にも、中国に課している制裁関税の引き下げについて判断する。物価抑制などの観点から引き下げを検討する一方、政権内には中国への圧力を維持するため慎重な意見もある。国内の労働組合も引き下げに反対しており、11月の中間選挙もにらんで難しい判断を迫られる。

米上院公聴会で6月7日、証言するイエレン財務長官。対中関税引き下げに理解を示している(AP)

 米国務省は5日、ブリンケン長官が7〜8日にインドネシアのバリ島で開かれる20カ国・地域(G20)外相会合に出席し、中国の王毅国務委員兼外相とも会談すると発表した。気候変動問題などを協議するとされるが、関税に言及する可能性もある。国務省高官は「中国との関係は複雑で、対立を避けるため対話を続けることが重要だ」と語った。
 米政府は中国からの年間輸入品の6割を超える3700億ドル(約50兆円)相当の品目に最大25%の関税を上乗せしており、見直し作業中。イエレン財務長官やレモンド商務長官は物価抑制策の観点から引き下げに理解を示しており、対ロシア制裁で中国の協力を引き出すため関税で譲歩する可能性も指摘されている。
 しかし、関税政策を所管する米通商代表部(USTR)のタイ代表は、中国への圧力を維持しようと慎重姿勢。USTRのパブリックコメント(意見公募)でも、与党・民主党の支持基盤である労働組合の多くが雇用への影響を懸念し、制裁関税の延長を要請した。
 米政治サイト、ポリティコは5日、引き下げの対象品目を100億ドル程度にとどめ、自転車など複数の消費財の関税を引き上げる可能性もあると報じた。「弱腰」批判を回避する狙いとみられる。一方、輸入業者が関税の免除を申請できる仕組みも導入予定といい、バイデン政権の複雑な胸中が透ける。

◆中国側は「両国と世界に利益を」

 対する中国商務省の束珏婷そくかてい報道官は6月下旬の会見で「インフレ下では、両国の消費者と企業にとって追加関税の撤廃は早ければ早いほど有益。中米が努力して、両国と世界の人民に利益をもたらすべきだ」と述べるなど、追加関税の全撤廃を訴えている。
 習近平しゅうきんぺい総書記(国家主席)は、異例の3期目入りを目指す共産党大会を今秋に控え、経済の安定を目指している。「ゼロコロナ」による不況が続く中で関税削減で歩み寄ることができれば明るい材料となるが、専門家は「米国の対中強硬政策が大きく変わることはない」と冷静に見極めている。

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