温暖化対策、参院選で議論低調 第一声で具体策言及は1人だけ 各党の目標値には違い<数字を読む公約点検>

2022年7月7日 06時00分
 記録的な暑さが続いたにもかかわらず、参院選では猛暑日を増やす要因となる地球温暖化の対策を巡る議論が低調だ。この状況に危機感を抱く若者たちは争点化を求めて声を上げている。各党はどんな脱炭素社会の未来図を描くのか。公約の数値目標に着目して比べた。(福岡範行)

◆「政治的な意思決定が重要」

 「気候危機はタイムリミットが迫っている。一人一人の行動は大事だが、それ以上にシステムが大きく転換していくには政治的な意思決定がすごく重要だ」
 3日夕、東京・新宿駅南口で大学1年の山本大貴さん(18)は訴えた。温暖化対策の強化を求める「Fridays For Future Tokyo(未来のための金曜日)」が「気候危機も選挙の争点に」と呼びかけ、大学生ら約100人がいら立ちをぶつけた。
 早急な温暖化抑制が必要にもかかわらず、その対策は選挙戦で影が薄い。党首9人が第一声で強調したのは、物価高や安全保障。「温暖化」や「脱炭素」を口にしたのは3人で、具体的な対策に言及したのはたった1人しかいなかった。

◆「2050年ゼロ」は同じでも道筋に違い

 温暖化の抑制には、年間11億トンに上る二酸化炭素(CO2)を主とする温室効果ガスの排出を実質ゼロ(カーボンニュートラル)にする必要がある。NHK党を除く8党は政府目標と同じ「2050年ゼロ」の方向性を示す。ただ脱炭素化は社会転換を伴うため、達成への道筋に違いがある。
 30年度の排出削減目標で、政府は「13年度比46%削減、50%に挑戦」とする。これに対し、れいわ新選組は50%以上、立憲民主党は55%以上、社民党は60%と高い目標を掲げる。
 共産党は公約を13年度比に換算すると54〜63%の削減を掲げた。産業革命前と比べた世界の平均気温の上昇を「1.5度」に抑える国際的な目標達成に必要な日本の削減幅として、海外の研究機関が示している「62%減」に唯一届く。
 これら4党は再生可能エネルギー100%を目指す方向性や、省エネ推進でも高い目標を掲げる点でも一致。省エネ策では、少ない冷暖房で猛暑や寒さを防ぐ建物の断熱などを挙げた。
 共産、れいわ、社民の3党は30年までの原発、石炭火力発電ゼロも掲げた。

◆巨額投入掲げる党もあるが…

 公明党と日本維新の会は、30年度の温室効果ガス排出について政府目標と同じ立場を取る。達成の手法では、公明が「省エネ・再エネの徹底」を掲げ、維新は原発の早期再稼働を目指す姿勢を打ち出した。
 自民党は公約に30年度の排出削減目標はないものの、21年衆院選の政策集に政府目標と同じ数値が明記されている。国民民主党も削減目標はなく、電源の再生エネ比率で30年代に40%以上と記載した。
 脱炭素化の経済効果を見込み、大規模な資金投入を掲げた党もある。自民は「10年で150兆円超の官民投資」と明記。立民とれいわは「200兆円」の目標を書いた。共産は「毎年5000億円」を気候危機対策や中小企業支援などに、国民は「10年で100兆円規模」の投資先に環境やエネルギーの分野を含めているが、いずれも内訳の記載はない。
 NHK党は数値目標を示さず、「日本製の高性能な石炭火力の輸出が温室効果ガスの抑制につながる」と主張している。
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