世界の至宝と共演続々 最強のアマオケ 友好音楽祭オーケストラ

2022年7月7日 07時04分

銀座ブロッサム中央会館で開かれた「第6回東京・ヨーロッパ友好音楽祭チャリティーコンサート」。世界的に活躍する指揮者、バイオリン奏者のガエターノ・デスピノーサさん(中央)とチェロ奏者のタマーシュ・ヴァルガさん(右手前)が出演した

 ウィーン・フィル、ベルリン・フィル…。世界最高峰の管弦楽団から至宝のソリストらを招き、共演し続けるアマチュア・オケがある。「友好音楽祭オーケストラ」。東京大の学生、卒業生を中心に設立され、定期的にチャリティー演奏会を開く。国際的なスター奏者を呼び寄せる、このアマオケの魅力とは−。
 タクトが振られ、チェロの叙情的な中低音がオーケストラの旋律と共鳴する。シューマン作曲のチェロ協奏曲。ソロを務めるのはタマーシュ・ヴァルガさん。ウィーン・フィルで約20年間、首席ソロチェロ奏者を務める国際的スターだ。

チェロ協奏曲を演奏するタマーシュ・ヴァルガさん

 今月3日、銀座で開かれたウクライナ支援の「東京・ヨーロッパ友好音楽祭チャリティーコンサート」は、至宝の音色が聴けるとあって、アマチュアの演奏会ながら満席となった。
 この日は、若手の世界的指揮者でバイオリン奏者のガエターノ・デスピノーサさんもサプライズで登場し、ヴァルガさんとの二重奏を披露した。さらにタクトも振り、ヴァルガさんはオーケストラの一員としても演奏した。

コンサートにサプライズ登場し、指揮をするガエターノ・デスピノーサさん

 終演後、ヴァルガさんにウィーン・フィルで演奏する時との違いを聞くと、「違いとは何か」と問い返され、「共演するのに遜色ないレベルだから演奏するんです」と笑顔を見せた。
 これまで招いた顔ぶれを見ると、この言葉を社交辞令とは思えなくなる。過去5回のゲストは−。
 ▽元ウィーン・フィルのソロクラリネット奏者ペーター・シュミードル▽ウィーン・フィルのソロフルート奏者カールハインツ・シュッツ▽ウィーン・フィル奏者らによるストラトス四重奏団▽ベルリン・フィルのコンサートマスター、クシシュトフ・ポロネク▽元ウィーン・フィルのコンサートマスター、ダニエル・ゲーデ
 友好音楽祭オーケストラは2017年に発足した。東大オーケストラを中心に、早稲田大、慶応大、青学大などからも有志を募り、チャリティー演奏会を定期的に開いてきた。
 呼び掛けたのは、頴川(えがわ)栄治さん(71)。学生時代に恩師の依頼で、来日していたウィーン・フィルのメンバーを観光案内した。以来、出版社に勤める傍ら、ウィーンやベルリンの奏者たちと親交を深めてきたが、「興行で来日した奏者から、チャリティー演奏会をやりたいという声をよく聞くようになったんです。特に東日本大震災があってからは『大好きな日本のために』という強い思いを感じました」

友好音楽祭オーケストラの福島悠介代表(右)と発足に関わった頴川栄治さん=千代田区で

 ウィーン・フィルのメンバーが東大オーケストラの練習に入り指導した縁もあって、このオケを中心に友好音楽祭オーケストラを編成。17年11月に開かれた初演奏会はウィーン・フィルからソリストが、ベルリン・フィルからも10人の奏者が加わり、豪華なスタートを切った。
 現在、オケの代表を務める東大OBの福島悠介さん(29)は「ゲストの方のレベルを考えると相当きついのですが、良いプレッシャーをいただいています」と話す。練習は仕事の合間、場所も公共施設を抽選で借りたりと苦労も多い。ただ、それが本場の奏者には新鮮にも感じられるようだ。「欧州にはアマオケというのがほとんどなく、ヴァルガさんは私たちが純粋に音楽を楽しんでいることを評価してくれました」
 頴川さんは「ヴァルガさんがこんなことを言ってくれました」と明かす。「世界中でうらやましがられるアマオケにしようって」  
 文・稲熊均/写真・戸田泰雅、由木直子
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