一律12万円支給、イカモニュメント… コロナ対策「交付金」使い道は? 識者「いいかげんな制度」

2022年7月9日 06時00分
 新型コロナウイルスの感染拡大に対応するため国が地方に配る地方創生臨時交付金を巡り、自治体が住民への現金給付に回すなど使い方が疑問視されるケースが相次いでいる。交付金の財源は大半が国の借金。参院選でも忘れてはならないテーマだ。(井上靖史)

千代田区役所が入るビル。全区民に12万円を配布した財源の一部に国の交付金を充てた=同区で

 「うちは確かに財政的に恵まれている。かといってお金をジャブジャブ使えるわけではなく、国の交付金を充てられる事業であるなら当然、取りに行く」
 皇居のお堀を望む東京都千代田区役所が入るビル。3月まで財政課長だった石綿賢一郎・同区総務課長は取材に、きっぱり言った。
 千代田区は2020年7月、新型コロナ対策として6万6000人の全区民に一律12万円の支給を決定。「コロナが再流行する傾向がある。区民生活を包括的に支援する」と当時の区長は狙いを説いた。総費用81億円のうち5億7000万円をこの交付金で賄った。
 この問題は、疑問視される交付金の使途を全国的に調べているNPO法人の調査報道グループ「Tansa」が、先行して報じた。 区側は、大部分は自主財源だったと強調。さらに「国に申請し、認められた。こちらに向けられる議論なのか」と漏らす。交付金について内閣府は「コロナ対応のための取り組みである限り、原則、地方公共団体が自由にお使いいただける」(ホームページ)としている。区にすれば、国の制度設計の問題、との思いがにじむ。
 これまでに計上された交付金は全体で約15兆円。千代田区以外でも疑問視された事例は少なくない。2500万円の交付金を活用して巨大なイカのモニュメントを制作した石川県能登町は全国的に報じられ、政府の財政制度等審議会(財務相の諮問機関)も多数の事業を問題視。小中学校や博物館にエアコン30台を設置(7350万円、群馬県中之条町)、ドーム型運動場のグラウンドを土から人工芝に張り替え(1億3000万円、青森県五戸町)、グラウンド整備用トラクター購入(360万円、三重県御浜町)―など、全国津々浦々といった様相だ。
 元鳥取県知事で大正大地域構想研究所長の片山善博さんは「コロナ対策として本当に必要な政策に、使途を絞るべきだった。自治体も人の金だと思って吟味もせず交付申請している。財政が厳しいときにいいかげんな制度をつくったものだ」と指摘している。
参院選2022
参院選2022

おすすめ情報

参院選2022の新着

記事一覧