クルド人男性を難民認定へ 札幌高裁判決受け 支援の弁護士「より多く保護を」

2022年7月12日 20時08分
 トルコ国籍の20代クルド人男性の難民不認定処分を取り消し、確定した札幌高裁判決を受け、出入国在留管理庁が、男性を難民と認定する方向で調整していることが12日、政府関係者への取材で分かった。全国難民弁護団連絡会議事務局によると、トルコ国籍のクルド人が難民認定されるのは初めて。
 今年5月の札幌高裁判決によると、男性は2014年、日本に入国。難民認定申請は18年に退けられ、この不認定処分の取り消しなどを求めて提訴した。
 一審の札幌地裁判決は請求を棄却したが、高裁は、男性がトルコでクルド人独立を目指す組織のメンバーに食料を提供したことで軍などから拷問を受けており「迫害の恐怖を抱く客観的事情がある」と指摘、難民に当たると判断した。国が上告せず、確定した。
 関係者によると、入管庁は高裁判決を踏まえた上で、不認定処分後に事情が変わっていないかどうかを検討。現在も、帰国すれば迫害の恐れがあると判断したもようだ。(共同)
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 「札幌高裁判決に従って難民認定するという判断は、法治主義の立場から評価できる。今後、トルコ国籍のクルド人がより多く難民と認められ、保護されることを望みたい」。クルド人の難民認定支援を続ける大橋毅弁護士はそう話す。
 法務省入国管理局(現・出入国在留管理庁)は2019年、難民不認定を取り消す判決が確定したら、出身国の状況が改善されたなどの理由がない限り、難民認定する通知を出した。今回の判断は通知に沿った3例目のケースとなる。
 難民申請中で、東日本入国管理センター(茨城県牛久市)に収容された経験があるトルコ国籍のクルド人デニズさん(43)は「日本に2000人いるとされるクルド人を難民として認めるよう願う」と期待。一方で、日本政府が難民申請中は送還しないという現行法を変え、同じ理由での申請の場合、3回目以降なら相当な理由がない限り送還できるとする入管難民法改正案を検討しているため「法案を通すため今回だけ認めるのかもしれない」と不安は消えない。
 大橋弁護士は「入管は従来、トルコとの外交関係に配慮し、トルコ国籍のクルド人を1人も難民認定してこなかった。今後も公正に難民認定がなされるかが疑わしい。外交関係などに影響されない第三者機関に難民保護を委ねるべきだ」と指摘している。(望月衣塑子)

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