13兆円賠償命令に「100点満点」「後世に残る名判決」 東電株主代表訴訟 勝訴の原告ら喜びに沸く

2022年7月13日 20時45分

東京電力福島第一原発事故を巡る株主代表訴訟の判決後、記者会見する(左から)河合弘之弁護士、原告の山崎久隆さん、木村結さん、海渡雄一弁護士=東京・霞が関の司法記者クラブで

 世界最悪の事故を防げなかった代償は、13兆円を超える巨額の賠償責任―。東京電力福島第一原発事故から11年4カ月、司法が初めて旧経営陣の責任を断罪した。10年を超えた株主代表訴訟に取り組んだ原告は13日、東京地裁の判断を「後世に残る名判決」と評価し、原発政策の転換につながることを期待した。

◆「逃げ回った」東電幹部への「怒りが満ちた判決」

 午後3時過ぎ、東京地裁の法廷で朝倉佳秀裁判長が判決の骨子を読み上げると、勝訴を確信した原告側は机の下で拳をぎゅっと握り締めた。閉廷と同時に傍聴席から拍手が湧き、「よし」「やった」などと喜びの声が上がった。
 「100点満点の判決。原発事故で苦しい生活に追いやられた住民に、心から喜んでもらえるはずだ」。判決後の記者会見で、弁護団共同代表の海渡雄一弁護士は力を込めた。「国の長期評価の信頼性を真っ正面から認めた判決。万が一、原発事故を起こしたら国を滅ぼす。だからこそ高い安全基準が必要だと強い言葉で示してくれた」と評価し、後続の訴訟への追い風になるとの見方を示した。

判決後、「株主勝利」と書かれた紙を広げる原告の木村結さん

 判決は、東電が津波対策を講ずる必要があり、それが可能だったと認定。原告の木村結さん(70)は「取締役の危機意識と予測能力のなさ、明らかな任務の怠りが浮き彫りになった。重責を担っていると言い続けてきたことが正しかった」と笑顔を見せた。
 共同代表の河合弘之弁護士は「事故を起こし、逃げ回ってきた幹部に対する裁判官の怒りがこの判決に満ち満ちている。非常に歴史的な意義があり、後世に残る名判決だ」と強調。原発の再稼働への影響についても「非常にブレーキになる」と語り、「こんな巨額な賠償責任を負うなら、ほかの手段でいこうと判断する役員も出てくるのではないか」と、原発政策の転換に期待した。(奥村圭吾)

◆国の責任否定の最高裁に「反転攻勢の一歩」

 東京電力福島第一原発事故を巡り、旧経営陣4人の賠償責任を認めた東京地裁判決を受け、原発事故で被災した住民らは「まっとうな判決だ」と歓迎した。原発政策を推進した国の賠償責任は6月に最高裁が否定したばかりだが、今回の判決をきっかけに国の責任追及を続けると強調した。
 福島県内外の住民らの集団訴訟で原告団長を務める中島孝さん(66)=福島県相馬市=は「まっとうな判決」ときっぱりと言った。自身の訴訟では最高裁が6月、「東電に津波対策を義務付けても、事故は防げなかった」と国の責任を否定した。「今回の判決で認定された事実を考えると、東電に対策を取らせなかった国にも責任があると考えている」と指摘。「被害実態に照らせば十分ではないが、13兆円という莫大な被害を生み出した責任は大きい」と話した。
 群馬県への避難者の集団訴訟の原告、丹治杉江さん(65)=前橋市=は「うれしい。当然の判決だ。事故は絶対起きない、と言っていた東電や国は責任を取ってもらいたい」と話した。
 中島さんらの集団訴訟の原告弁護団の1人、馬奈木厳太郎弁護士は「初めて東電の過失が正面から論じられたことに大きな意義がある」と評価。6月の最高裁判決に引きずられることなく、これまでの裁判で積み重ねられてきた証拠を踏まえて判断されたとし、「国の責任を認めなかった最高裁判決の反転攻勢の第一歩となる」と強調した。(片山夏子、小川慎一)

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