河井法相辞任「法務トップなのに」 政治とカネ「また辞めた」

2019年10月31日 16時00分

辞表提出後に取材に応じ、一礼する河井法相=31日午前8時29分、首相官邸で

 「政治とカネ」を巡り、またもや閣僚が辞任した。河井克行法相は三十一日、妻で参院議員の案里氏の選挙運動に関する疑惑を週刊誌で報じられ、辞表を提出した。法務行政のトップの辞任に法務省内は困惑。安倍政権では菅原一秀前経済産業相が二十五日に辞任したばかりで、市民から批判の声が出ている。
 東京都内のJR新橋駅前では、有権者から安倍政権の任命責任を問う怒りの声が上がった。河井氏が疑惑を認めていない中で辞任したことにも「それなら堂々としていればいい」といぶかしがる人もいた。
 「えっ。また辞めたの?」と驚きの声を上げたのは、神奈川県の会社員菅原理子(さとこ)さん(42)。選挙区内で有権者に香典を渡したと報じられた菅原前経産相に続く閣僚の辞任に、「二人とも菅義偉官房長官の側近。任命前にきちんとチェックして、能力ある人を大臣に据えてほしい」と求めた。
 週刊文春の報道では、案里氏の陣営が七月の参院選で運動員に法定上限を超えた日当を渡し、河井氏の事務所は有権者にジャガイモなどを贈ったとしている。河井氏は三十一日、辞表を提出しながら「今回の一件は私も妻も全くあずかり知らない」と説明している。
 東京都葛飾区の会社員田中嵩久さん(44)は「早期の辞任は潔いが、疑惑を否定しているのに辞める理由が分からない」と指摘。安倍政権に対し「いつも内閣改造をするたびに、スキャンダルが出て閣僚が辞める。どうにかならないのか」とあきれ顔だった。
 一方、通勤途中の千葉市の会社員男性(50)は「閣僚の失言やスキャンダルのせいで、税金が無駄に使われている」と嘆いた。 (天田優里)
 ◇ 
 河井法相の急転直下の辞任を受け、法務省内は朝から混乱状態に陥った。同省幹部からは「法をつかさどる組織のトップにこんな疑惑が持たれるとは…。残念だ」との声が漏れた。
 「あ、ちょっと忙しいので取材には応じられない」
 法務省内の廊下で中枢の幹部に声を掛けると、険しい表情で自室に戻っていった。大臣官房の幹部は「ごめんごめん」とだけ言い、若手職員らと小声で話しながら足早に部屋に入った。
 この日は午前十時から、全国の検察庁の次席検事らが集まる会議が省内であり、当初は河井氏が訓示する予定だった。だが、三十日午後、訓示は法務次官の代読に変更され、三十一日午前九時前には代読も取りやめになった。
 ある法務省幹部は「辞任をニュースで知って驚いた。こんなに早く決断するなんて、よほどまずいことがあったのでは」と眉をひそめた。
 別の幹部は「疑惑が本当なら許されない。法相なのに公職選挙法に抵触するようなことをしていたとすれば完全にアウトだ」とあきれた様子。「今国会で法務省は会社法改正案など重要法案を出している。審議への影響は避けられないだろう」と心配する幹部もいた。 (小野沢健太、山下葉月)

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