<くらしデモクラシー>「表現の自由 降参したら守れない」 慰安婦映画中止で意見交換 川崎

2019年10月31日 02時00分

ミキ・デザキ監督(手前左)も参加し、映画「主戦場」の上映中止について話し合われた=30日、川崎市麻生区で

 川崎市で開催中の「KAWASAKIしんゆり映画祭」が従軍慰安婦問題を扱ったドキュメンタリー映画「主戦場」の上映を中止した問題で、映画祭の主催団体は三十日、表現の自由について参加者が意見交換するイベントを同市内で開いた。
 参加者は百人を超え、会場に入り切れない人もいた。映画祭の中山周治代表は「表現の自由について皆さんに語っていただき、それを真摯(しんし)に受け止めて今後の活動に生かしたい」とあいさつした。
 映画配給会社「ノンデライコ」の大沢一生代表は「上映をボイコットする選択もあったが、SNSなどで一方的に批判するより、みんなで意見を出してもらう機会が必要だと思った」と、開催を呼び掛けた理由を説明した。
 男子高校生が「今後(「主戦場」の)上映はあるのか」と質問したが、中山代表は「作品を取り巻く状況が変わらなければ難しい」と答えた。上映した場合の安全面の問題を強調した中山代表に対して、女性の参加者が「市に相談して安全面の問題を回避するべきだった。上映機会を奪った責任は大きい」などと指摘すると拍手が起こった。
 「主戦場」のミキ・デザキ監督や配給会社の「東風」の関係者も出席。デザキ監督は「小さな戦(いくさ)(上映中止)であっても、降参していては表現の自由を守ることはできない」と訴えた。
 「主戦場」は意見が異なる多数の学者やジャーナリストらにインタビューした作品。出演者の一部が上映禁止と損害賠償を求めて提訴しており、映画祭を共催する川崎市は、映画祭事務局を務める主催者のNPO法人に上映への懸念を伝達。主催者側もトラブル対応や観客の安全面を考慮し、九月になって上映中止を決めた。
 映画製作会社「若松プロダクション」は上映中止に抗議し、映画祭に出品した二作品を取り下げている。 (安田栄治)

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