私たちの心配 国は聞いて 英語民間試験に高校生反発 

2019年10月31日 02時00分

英語民間検定試験の導入などに反対する文部科学省前の集会では、現役の高校生も声を上げた=4日、東京・霞が関で

 文部科学省が二〇二〇年度から大学入学共通テストに英語民間検定試験を導入しようとしていることへ、批判が止まらない。制度への疑問や困難な状況を抱えた高校生たちがインターネット上などで中止や延期を訴えてきた。萩生田光一文部科学相は三十日の国会答弁で、延期に含みを持たせつつも、予定通り実施すると繰り返した。受験を控えた高校生らは、落胆と反発を強めている。 (柏崎智子)
 「私たちを実験台にしてほしくない」
 東京都内の通信制高校に通う二年の女子生徒(16)は、今月初旬に野党が国会内で開いた文科省ヒアリングに参加し、訴えた。
 中学一年の夏、化学物質過敏症を発症。洗濯物の柔軟剤や印刷のインクなどのにおいで意識がもうろうとなり、倒れてしまう。学校にほとんどいられなくなり、高一の夏、自宅で学べる通信制高校へ転校した。
 やりたいこと、学びたいことはたくさんある。体調を整え「普通の人と同じように大学へ通いたい」と希望を持ち勉強を頑張ってきた。
 ところが、大学入試制度の変更で民間の英語検定試験の受験が必要に。「もし試験会場が誰かの香水や問題用紙のインクのにおいで充満していたら…」
 文科省は、民間検定試験での障害や病気の人への配慮の具体的な中身は、各試験団体に任せている。「どこまで対応できるのか」と不安は尽きない。
 香川県の公立高校三年の女子生徒(18)は、萩生田文科相の「身の丈」発言に憤る。
 地方に暮らし、もともと都市部より不利だと感じてきた。「予備校が少ない。あっても、離島や山間部の子はフェリーや電車の最終が早くて通えない」。その格差が、国の施策で民間検定試験が導入され「拡大する」と強く懸念する。
 試験会場は圧倒的に都市部が多く、四国について現段階で触れていない団体もある。だが、文科省は、離島の受験生以外、会場までの交通費の補助は設定していない。
 三年生なので来年冬の入試は従来型だが、浪人すれば新しい入試に臨まねばならない。「『絶対浪人できない』と、安全圏へ進路変更しようか迷っている友達もいる」
 萩生田文科相は今月四日の記者会見で「(民間検定試験を)受ける必要のない人は受けないで結構です」とも発言した。女子生徒は「受験方法で受ける大学を決めるのですか? やりたい勉強ができ、教わりたい教授がいる大学を志望しているのに」と問い掛ける。
 立ち止まる様子を見せない文科省を見て、学んだことがある。「国って、信用しきってはいけないんだなと分かりました。ちゃんと見ていかないといけない」

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