女性活躍の大先輩「尊敬」 緒方貞子さん死去

2019年10月30日 02時00分

1999年6月、ボスニア・ヘルツェゴビナのサラエボ郊外にある難民収容施設で、難民の少女から花束を渡される緒方貞子国連難民高等弁務官=ロイター・共同

 「尊敬する大先輩」「何事にも真剣だった」。日本人初の国連難民高等弁務官として難民支援に貢献した緒方貞子さん(92)が死去したことが分かった二十九日、国内で交流のあった人たちの間でも功績をたたえる声が相次いだ。
 「ずっと誇りだった。尊敬する大先輩を亡くし、寂しさを感じる」。学生時代から親交のある聖心女子大名誉教授の青木怜子さん(84)は突然の訃報に肩を落とした。
 二〇〇七年に東京都内の女子大が主催したシンポジウムで「女性活躍」をテーマに対談した。緒方さんは「社会貢献の方法は多様化している。女性活躍の道も広がっている」と繰り返し強調した。青木さんは「国のために大変な貢献を続けてきた緒方さんらしい言葉だな」と感心したという。
 一九九三年の国連総会に日本政府代表代理として出席した青木さん。空いた時間を使って米ニューヨークにある移民博物館を、当時国連難民高等弁務官だった緒方さんと見学した。入国審査を受けるため長蛇の列を作る移民の姿を収めたパネルに、緒方さんは「当時没頭していた難民問題を連想したのか、圧倒されている様子だった」という。
 市川房枝記念会女性と政治センター(東京)の久保公子理事長(69)は、緒方さんから「知見を広げた方がいい」と助言され、七〇年代に約一年間、米国で語学研修を体験した。当時、緒方さんも夫の仕事の都合で米国におり、何度も自宅に招かれた。「性格は優しいけれど、眼光が鋭く、何事にも真剣だった」と振り返る。

◆アフリカへの情熱遺児支援に あしなが育英会 学生40カ国超

 緒方さんは、遺児を支援する「あしなが育英会」(東京都千代田区)が二〇一四年にアフリカの遺児支援に乗り出すきっかけともなった。玉井義臣会長(84)は「緒方さんとの運命的な出会いがあったから。今後も助言をもらいたかった」と惜しんだ。
 以前に対談し、緒方さんは「これからの日本は、アフリカのために何かしてあげなければ」と情熱的に語ったという。長時間の対談でアフリカのことばかり話す熱意に突き動かされ、玉井さんはアフリカの学生を海外の大学に留学させ、卒業後は母国で活躍してもらう構想を立てた。
 支援する学生は四十カ国以上に増え、玉井さんは「緒方さんは思想的な指導者。緒方さんがいなかったら、こんな展開はなかった」と先見性に敬意を表した。(松村裕子)

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