水着新時代 墨田のメーカー開発 男女同じデザイン 水泳の授業、抵抗減へ

2022年7月21日 07時04分

男女のデザインを同一にしたフットマークの「男女共用セパレーツ水着」

 学校の水泳授業向けに、男女同じデザインの「ジェンダーレス水着」を墨田区の水泳・介護用品メーカー「フットマーク」が開発した。生まれた時の性別と自認する性が異なるトランスジェンダーの人への配慮のほか、「体形や肌を見せたくない」といった悩みにも応えるスクール水着として話題を集めている。
 「ここまで反響があるとは予想外でした」。「男女共用セパレーツ水着」を開発した同社学校教育事業部の佐野玲子さん(43)はそう話す。

ジェンダーレス水着を開発したフットマークの佐野玲子さん=墨田区で

 同社によると男女共通の形はスクール水着業界で初。上半身はファスナーが付いた前開きの長袖。胸の部分にパッドを差し込めるポケットが付いている。ハーフパンツは二重で、内側はニット生地、外側ははっ水加工の織物を使用。体のラインが目立たないようお尻などはゆったりとしたシルエットになっている。全十サイズで、税込み六千三百八十〜六千八百二十円。
 開発の背景には、学校現場におけるジェンダーレス化の動きがある。「制服がスカートやスラックスを自由に選べたり、体操服が男女共通化したりする中で、スクール水着は性差があらわになるデザインが多い」と佐野さん。また、数年前からトランスジェンダーの生徒に対応した水着の相談が同社にも寄せられていた。

フットマーク提供

 同社が二〇一五年に実施した区内の中学生との商品企画で、男子生徒がデザインしたのは、パンツが足首まで隠れるような長い形の水着。佐野さんは「体形や肌が見えてしまうのは恥ずかしい、という思いが男子にもあると知って驚いた」と明かす。
 今年は東京都、兵庫県の三つの中学校が男女共用水着を導入。六月以降、さまざまなメディアで取り上げられ、約百校から「採用を検討したい」などの声が届いているという。今年分は在庫がなく、来年に一般販売する予定だ。
 佐野さんは「アトピーや傷痕、体毛などさまざまな悩みで水着を着ることに抵抗がある人の役にも立てるはず。水泳の授業に楽しく前向きに参加できるよう、選択肢の一つに取り入れてもらえたら」と話している。問い合わせはフットマーク=電0120(210)657。

◆時代とともに露出少なく

 スクール水着は時代とともに肌の露出が少なくなってきた。44年前から製造を始めた同社の資料から、その変化がわかる。
 1970年代ごろから主流だったのは男子が「競泳型」、女子が「ワンピース型」と呼ばれ、太ももがあらわなデザイン=写真(1)、同社提供。

(1)

 2000年代以降は、太ももまで隠れる「トランクス型」、上下が別の「セパレーツ型」が登場=写真(2)、同。紫外線対策などで長袖の「ラッシュガード」を着る生徒も増えているという。

(2)

 同社は1946(昭和21)年、赤ちゃんのおむつカバーの製造業として創業。3代目の磯部成文会長(80)は「介助」と「看護」を組み合わせた「介護」という言葉を発明し、84年に商標登録した。
 「ものづくりの第一歩は自分の周りに転がっている」が磯部会長のモットー。「スクール水着も現場に足を運んで生徒や先生、保護者の意見を聴きながら改良を重ねてきた。男女共用水着も、企画、創造を繰り返して今後もまだまだ変わっていくだろう」と語る。
文・三宅千智 写真・五十嵐文人
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