東京「5万人」に現実味…見えない感染ピーク、専門家も予測不能 分科会不開催の3カ月に「BA.5」拡大

2022年7月23日 06時00分

厳しい暑さの中、マスク姿で歩く人たち=20日、東京都渋谷区で(由木直子撮影)

 新型コロナウイルスの流行「第7波」の勢いが加速している。東京都の新規感染者数は21、22日と2日続けて3万人を超え、8月上旬に5万人に達するとした都の予測が現実味を帯びる。「第6波」とは異なり、ワクチン接種による抑制効果に大きな期待をできず、ピークが見通せない。専門家からは行動制限の実施を求める意見が出始めた。(原田遼、沢田千秋、佐藤航)

◆試算を裏切る感染急拡大

 「今後も感染の増加が継続することが予測されるが、その規模は予測できない」。感染状況を分析し、厚生労働省に助言する専門家組織「アドバイザリーボード」座長の脇田隆字・国立感染症研究所長は21日の会合後、そう語った。
 13日の会合では、都の新規感染者(1週間平均)は20日ごろに約1万8000人でピークを迎えて減少に転じる試算が示されていた。だが、22日時点で2万1100人と試算を上回った。
 7月に入り、都の新規感染者数は前週比で2倍のペースで増加した。直近の1週間では1.65倍とやや下がったものの、急増は続いている。

◆感染力「BA.2」の1.3倍

 第6波は1カ月ほどでピークを越えたが、今回も同じように下火になるとは限らない。懸念の一つは現在、主流となったオミクロン株「BA.5」の感染力の強さだ。直前に広まっていた「BA.2」の1.3倍とされる。
 また、第6波ではまん延防止等重点措置が取られたが、政府は第7波では行動制限に消極的。ワクチン接種の効果もこれまでと異なる。3回目接種開始から7カ月が過ぎ、免疫力が低下した人が少なくないとされる。60歳以上の人らが対象の4回目接種は重症化予防が主目的で、感染予防効果について厚労省は「短期間しか持続しないと報告されている」と説明する。

◆行動制限の検討を求める声も

 ポルトガルや南アフリカでは5月ごろから「BA.5」が流行した。国内では5月下旬に都内で「BA.5」の疑い例を初めて確認した。この時点で、警戒を強めることもできた。
 それでも6月中旬は毎週開催の専門家組織の会合は一時、隔週開催に。コロナ対策を提言する政府の分科会も、4月下旬を最後に開催が途絶えた。7月に入って都の1日の感染者が3000人を超えても、分科会は招集されず、メンバーの1人は「政府は(7月10日投開票の)参院選の方が大事みたいだ」と語った。
 分科会は14日に3カ月ぶりに開かれ「ワクチン接種の加速化」「医療体制の強化」などを提言したが、既に都の1日の感染者数は1万5000人を超えており、第6波ピークの約2万人に迫る水準になっていた。
 専門家組織の21日の会合では、複数の専門家から「行動制限を検討する時期にある」という意見が出たという。医療提供体制は徐々に逼迫ひっぱくし、都の病床使用率は22日時点で44.7%。救急搬送も困難になっている。5つの医療機関から患者の受け入れを断られるか、20分以上搬送先が決まらない「東京ルール」の適用は1日約300件に上っている。

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