「なぜ彼女が…」殺された女子高校生の恩師らが早期逮捕願う 八王子の「ナンペイ」強盗殺人事件から27年

2022年7月23日 19時13分

亡くなった矢吹恵さんの遺影=東京都町田市で

 東京都八王子市のスーパーで女性3人が射殺された事件は、未解決のまま30日で27年を迎える。「なぜ彼女が殺されなければいけなかったのか」。被害者の1人で桜美林高校2年だった矢吹恵さん=当時(17)=の恩師伊藤孝久さん(71)=相模原市=は、早期の犯人逮捕を願う。(榊原大騎)

 八王子スーパー強盗殺人事件 1995年7月30日午後9時15分ごろ、東京都八王子市大和田町4のスーパー「ナンペイ大和田店」の2階事務所で、いずれもアルバイトの高校2年矢吹恵さん、前田寛美さん=当時(16)、パート従業員の稲垣則子さん=同(47)=の3人が頭を拳銃で撃たれて殺害された。事務所の金庫の扉にも弾痕があったが、中の現金約500万円は残されていた。

 23日午後、町田市の桜美林高であった追悼集会。矢吹さんの笑顔をイメージしたひまわりの花束が飾られ、元同級生や教諭らが祈りをささげた。進行役を務めた伊藤さんは「1発の銃弾により、短い生涯を閉じることになってしまった。夢を実現することができず、悲しく悔しい思いをしているに違いありません」と出席者に語りかけた。

八王子スーパー強盗殺人事件で矢吹恵さんについて話す当時の学年主任の伊藤孝久さん。涙ぐむ参加者も=東京都町田市で

 学年主任だった伊藤さんは、数学の教師として矢吹さんのクラスを受け持っていた。「すてきな笑顔の人気者だった。明るくて、いつも女子生徒の輪の中心にいた」と懐かしむ。矢吹さんの将来の夢は保育士になることだった。「素晴らしい保育士になっていたと思う。なぜあんなことに…」
 事件の一報を聞いた1995年7月30日夜。「本当にうちの学校の生徒が撃たれたのか」。あまりのことに信じられなかったが、数日後に変わり果てた矢吹さんと対面すると、怒りとともに実感が湧いてきた。「なんでこんなことをするのか」。犯人が憎かった。
 伊藤さんには、矢吹さんと同い年の長女がいる。「自分の子どもじゃなくて良かったなんて思えなかった。前途ある若者の命を気軽に奪うなんて」と悔しさをにじませる。
 事件後、二度とこのようなことが起きてほしくないとの思いから、矢吹さんの同級生らと「銃器根絶を考える会」を立ち上げた。生徒たちと一緒に世界の銃犯罪について調べ、その成果を桜美林高の文化祭で紹介するなどしてきた。
 「子どもたちを銃撃事件の被害者にも加害者にもさせてはいけない。それは大人の責任であり、矢吹さんの死に報いることでもある」
 今月8日には安倍晋三元首相が凶弾に倒れ、銃犯罪がクローズアップされている。「銃は人を殺すための道具。存在するべきものではない」と語気を強める。
 殺人罪の時効は撤廃され、警視庁の捜査は続く。「どうしてあんな事件を起こしたのか、動機は何だったのか。事件が解決しても遺族の苦しみは消えないだろうけど、このままでは彼女の命がなぜ奪われたのかが分からない。早く犯人が逮捕されることを望みます」

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