暴風、恐怖再び 南房総 避難所「早く過ぎ去って」

2019年10月13日 02時00分

多くの住民が避難し、満員状態の忽戸体育館=12日、千葉県南房総市で

 台風19号の猛烈な風雨は、先月の台風15号で既に被害を受けている千葉県南部にも容赦なく及んだ。母(68)が一人で暮らす同県南房総市出身の記者(35)が、依然として被害が残る実家に戻り、激しい風雨の中、避難を手伝った。
 同市千倉町の漁港近くにある実家は、木造平屋で築約五十年。九月の台風15号では、南側の窓ガラスが強風で割れ、瓦も飛ばされた。十一日に勤務する千葉市内から帰省し、雨漏りが不安な屋根裏にブルーシートを敷き、雨戸を閉めた上で角材を打ち付けて固定するなどして備えた。
 十二日午前六時ごろ、雨が打ち付ける音が響き、風で自宅が揺れるような感覚で目が覚めた。
 足腰に痛みがある母は当初、「家が心配だから、避難はしない」と話していた。だが、猛烈な風雨に、台風15号で停電が四日近く続いた状況を思い出し、「怖い思いはしたくない」と避難を決め、おにぎりや二リットル入りのペットボトルの飲料水数本をバッグに詰め込んだ。
 午前十一時半ごろ、避難の準備のため、外に出ると、近くの住宅で、土のうで固定されていたブルーシートが、「ゴー」とうなるような強風とともに飛ばされる様子を目撃した。
 正午ごろ、最寄りの忽戸(こつと)体育館が定員の約百人に達し、満員になったと防災行政無線が流れた。「どうしよう」と母と途方に暮れた。隣に住む一人暮らしの女性(81)が既に親戚ら三人で避難していたため、避難所の市職員と三人の了解を得て、母は避難スペースの一角に入れてもらい、おにぎりを四人で分け合った。
 避難していた隣人の親戚の女性(87)は「早く無事に帰りたい」と祈るような表情。屋外では午後二時ごろには、数メートル先も見渡せないような状況に。時間を追うごとに風雨が強まり、母は「早く過ぎ去ってほしい。とにかく家が無事であってくれれば」と涙ぐみながら話した。
 午後四時ごろ、記者が実家に荷物を取りに行くと、五十メートル先の漁港は、高潮で海水が防波堤のすぐ下まで迫っていた。危険を感じ、記者も避難した。 (山口登史)

◆千葉県内の避難者 15号時より大幅増

 千葉県内の避難者数は十二日午後六時現在で約四万三千人に上り、九月の台風15号での最大人数約千百人を大きく上回った。

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