大川小 遺族の勝訴確定 津波で児童犠牲「対策に不備」 最高裁、市県の上告棄却

2019年10月12日 02時00分

勝訴判決が確定し、記者会見で涙ぐむ今野ひとみさん(右端)ら遺族=11日午後、仙台市で

 東日本大震災の津波で犠牲になった宮城県石巻市立大川小学校の児童二十三人の遺族が、市と県に損害賠償を求めた訴訟で、最高裁第一小法廷(山口厚裁判長)は市と県の上告を退ける決定をした。震災前の津波対策について学校側の過失を認め、市と県に約十四億三千六百万円の賠償を命じた二審仙台高裁判決を支持し、遺族側の勝訴が確定した。決定は十日付で、裁判官五人全員一致の意見。 
 十一日午後、仙台市内で記者会見した遺族代表の今野浩行さん(57)は「再発防止につながる決定だ。教育現場は真剣に受け止め、学校防災に取り組んでくれることを期待している」と話した。
 一、二審判決によると、大川小の児童は二〇一一年三月十一日の地震発生後、校庭で五十分ほど待機。教職員の誘導で、堤防付近の小高い場所に避難を始めた直後に津波が押し寄せ、児童百八人のうち七十四人が犠牲になった。
 一審の仙台地裁判決は、津波の七分ほど前に市の広報車が学校近くで津波襲来の可能性や高台避難を訴えていたのに、教職員らは児童を高台に避難させる義務を怠ったと認定した。
 二審の仙台高裁は昨年四月、さらに踏み込んで事前対策の不備についても過失を認定し、賠償額を約一千万円増額した。
 高裁は判決で、校長らは児童の安全確保で「地域住民よりはるかに高いレベルの知識と経験が求められる」と指摘。大川小は市の津波ハザードマップの予想浸水区域外だったが、高裁は「広大な流域面積を有する北上川の近くにあり、津波の襲来は十分に予見できた」とした。
 同校の危機管理マニュアルの不備も指摘。校長らはマニュアルに津波からの避難場所として学校の裏山を指定し、避難方法などを決めておく義務があったのに怠り、児童が津波に巻き込まれたと結論づけた。石巻市教育委員会についても「マニュアルの是正を指導する義務を怠った」と指摘した。

◆災害想定判断難しい

<静岡大防災総合センターの牛山素行教授の話> 学校や地方自治体にとって厳しい決定だ。確定した二審判決は、津波の予見可能性を認めたが、自然の複雑性を理解していない印象もある。ハザードマップ通りにはならないと分かっていても、どれほどの大きな災害を想定しなければいけないかの判断は非常に難しい。教員や自治体職員が防災の専門知識を得られる機会は担保されていないのが現状だ。司法の結論として高度な専門性を求めるなら、国が人材養成・人材確保のための予算をつけた上で、自治体を支援するなど体系的な取り組みが必要だ。

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