デジタルストーカーの仰天手口 SNS写真の瞳に映る風景から自宅特定、ピース写真の指紋から不正ログイン

2019年10月11日 11時38分
 会員制交流サイト(SNS)に投稿された顔写真の瞳に映った景色を手掛かりに、アイドル活動をしている女性の住所を特定し、わいせつな行為をしたとして男が逮捕、起訴された。画像に写り込んだ物から、思いも寄らぬ個人情報が漏れる。いわば「デジタルストーカー」に注意が必要だ。(大野孝志)

◆投稿動画から部屋の位置も突き止め

 警視庁に逮捕された男は、女性の瞳に映っていた駅を確認し、街頭の景色が分かる検索大手グーグルの「ストリートビュー」と比較。似た駅を見つけて待ち伏せし、尾行したとされる。女性が投稿した動画の室内の様子から、部屋の位置も突き止めていたという。
 SNSを介したストーカー被害の相談を受けている「全国webカウンセリング協議会」によると、投稿した画像に写った窓の景色で自宅を特定されたり、学校内で撮った画像で通学先を割り出されたりし、見知らぬ者が押しかけてきたケースが報告されている。

ビルの方を向いてスマートフォンで「自撮り」すると…

 実際に街頭でビルの方を向いてスマートフォンで「自撮り」すると、ビルが瞳に映る。画像を拡大することで、形や色まではっきり分かる。特徴的な外観の建物や看板の大きな字が映っていれば、特別な画像処理をしなくても特定できてしまう。

撮った画像の瞳の部分に、ビルがくっきり映る

◆瞳の虹彩、指の指紋からニセ認証の悪用も

 自撮りでよくやる「ピースサイン」も要注意だ。国立情報学研究所の越前功教授(情報セキュリティー)によると、写った指の指紋を画像処理し、凹凸を再現。データでスタンプを作れば「偽の指」ができ、他人が成り済まして指紋認証をパスされる恐れがある。
 顔の近くでピースをすると指にもピントが合い、大きくくっきり写って読み取られやすい。SNS上には顔写真や名前、生年月日のデータがあり、指紋と関連づけられる危険性が高い。瞳の「虹彩」が読み取られ、虹彩認証で悪用される恐れもある。

◆背景の電柱の住所、パソコン画面への映り込みにも注意

 ネットセキュリティー会社「トレンドマイクロ」広報の鰆目順介さん(36)は、デジタルストーカーについて「個人を特定する情報が写り込んだ写真は、従来は仲間うちだけで見ていたが、SNSが普及して不特定多数に見られるようになったことで生じた問題です」と話す。
 学校のカバンや書類に書かれた名前が写っていれば、個人を特定される。背景に写った電柱や広告に書かれた住所、公園や店の名前からも、自宅や普段よく行く場所が特定される。景色は、テレビやパソコンの画面、アップで撮ることの多い乳幼児やペットのつぶらな瞳にも映る。

◆画質など下げて対策を

 最近はスマホのカメラの性能が向上し、自動的に高解像度で写る。動画に一瞬でも写っていれば、一時停止して読み取れる。鰆目さんは「SNSに投稿する際は、身の回りの情報が出過ぎていないか確認を。画質やサイズを落として読み取れないことを確認したり、閲覧できる人を限定したりすることが必要」と語る。
 SNSの文章にも気を付ける必要がある。「スーパー○○で買い物」などと、具体的な施設名を挙げて書き込むと、生活圏を特定されやすい。鰆目さんは、SNSには犯罪者が付け入る隙があると、学校などで教育することが重要と指摘する。「子どもの方がSNSを使いこなしている。どういう使い方をしているのか、まず大人たちが把握してほしい」
(2019年10月10日東京新聞朝刊「特報面」に掲載)

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