<税を追う>ハワイ視察 実は名所巡り 総研大学長「綺麗なところ見たい」

2019年10月11日 02時00分
 先端分野の若手研究者を養成する国立大学法人「総合研究大学院大学」(本部・神奈川県葉山町)で、長谷川真理子学長らが二〇一八年三月、国立天文台(本部・東京都三鷹市)との連携強化を目的にハワイを視察した際、訪問先の七割が観光名所や土産店だったことが分かった。視察先の選定に当たり、長谷川学長が「綺麗(きれい)なところを見たい」と火山見学を要望していた記録も残っていた。大学関係者は「視察に名を借りた観光旅行だ」と問題視している。 (中沢誠)
 本紙が天文台への情報公開請求で入手した開示文書から判明した。
 視察は一八年三月二~六日に実施。長谷川学長のほか永田敬副学長、中村幸男理事の執行部全員と事務職員の計七人が、天文台の研究拠点のハワイ観測所などを訪ねた。七人の視察費は総額二百八万円で、文部科学省から支給される運営費交付金を充てていた。
 天文台は、総研大生を受け入れてもらっている共同の研究機関の一つ。観測所にも総研大生一人が在籍していることから視察した。
 開示資料によると、初日に観測所を訪問。二日目は天文台のすばる望遠鏡を見学し、三日目にハワイ大学を視察する行程になっていた。視察費の申請書には、視察目的として「天文台との連係強化や業務の効率化につなげる」とある。
 総研大によると、観測所や望遠鏡では総研大生や現地職員らと懇談したり、施設を見学したりして、ともに二時間ほど滞在。ハワイ大学の視察は日曜で要人との面会は行わず、学内の施設見学や庭園散策で一時間ほど過ごしたという。
 ところが、視察では観光名所や土産店に多くの時間が割かれていた。
 総研大の藤原匡利総務課長は「学長と参加者の意向を踏まえ、天文台と調整して視察先を決めた」と話す。総研大から天文台に送られたメールには、「火山見学について。できれば綺麗なところを見たいとの希望がございます」「ホノルルについて。ハワイの自然があるところを見学できたらと申しております」などと、長谷川学長の要望が伝えられていた。
 実際、長谷川学長の要望に沿うように、世界遺産に指定されているハワイ火山国立公園のキラウエア火山や、「この木なんの木」のCMで知られるモアナルア・ガーデンなどガイドブックに紹介されるような観光名所を訪ねていた。総研大の中村理事は「用務の途中に時間調整や休憩で立ち寄ったもので、用務の一つと考えている」とする。
 これに対し、総研大元教員は「ハワイ観光するため、すばる望遠鏡を視察したとしか思えない」と憤る。

◆「将来構想を策定する重要な活動」学長コメント

 ハワイ視察について、長谷川学長=写真=は本紙の取材に大学を通じて「総研大の将来構想を策定する上で、各基盤機関の訪問調査は最も重要な執行部活動。ハワイ視察は、この活動の一環としてとらえている」とコメント。「この海外拠点の視察は、総研大の国際共同研究の実態把握や学生の教育現場を肌で感じることができ、新たな教育プログラムの構築につながった」と視察の意義を強調した。
 長谷川氏は二〇一七年四月から総研大学長を務めており、ハワイ視察は就任一年目。専門は自然人類学で、野生のチンパンジーなどの研究を行ってきた。〇七~一七年、国家公安委員会委員。新聞などにも寄稿している。
<総合研究大学院大学> 国内初の大学院だけの大学として、1988年に設立した国立大学法人。ノーベル賞をとれるような優れた研究者を養成しようという発想から生まれた。国立天文台ハワイ観測所のほか、総研大生は国立民族学博物館や分子科学研究所など国内外にある22の共同研究拠点で研究を行い、そこの教授らから指導を受ける。2018年度に国から受け取った運営費交付金は17億円余りで、収入全体の8割を占める。19年5月現在、学生数は506人。

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