秋葉原殺傷 ネットの「居場所」奪われ凶行 立場の弱い派遣社員の孤独や苦悩も 加藤死刑囚に刑執行 

2022年7月26日 11時05分
無差別死傷事件が起きた現場=2008年6月8日、東京都千代田区外神田で

無差別死傷事件が起きた現場=2008年6月8日、東京都千代田区外神田で

 東京・秋葉原の歩行者天国で男女17人が死傷した無差別殺傷事件から14年余り、元派遣社員加藤智大死刑囚(39)の刑が執行された。平成史に残る通り魔事件であると同時に、立場の弱い派遣社員の孤独や苦悩も浮かび上がった。(山田雄之)
 「負け組は生まれながらにして負け組です。まずはそれに気付きましょう。そして受け入れましょう」
 2008年6月に事件を起こす数カ月前、インターネットの掲示板にこう書き込んでいた加藤死刑囚。派遣社員から正社員になろうと、就職支援センターに相談していた時期だった。
 ほかに書き込んでいた内容は、自分は「不細工」で彼女ができないという卑下、夢のない将来、他人への嫉妬、両親への嫌悪…。「人生のうっぷんがあった」と加藤死刑囚は後の警視庁の調べに供述したとされる。
 唯一のはけ口だったネット掲示板。加藤死刑囚になりすます「偽者」や「荒らし」が頻発したことが事件のきっかけだったと、本人は公判で説明している。
 加藤死刑囚は1審東京地裁の公判の被告人質問で「現実で本音を言える人がおらず、(ネット掲示板は)自分が自分でいられる場所だったが、大切な人間関係を壊された」と主張。「自分が事件を起こしたことを知れば、本当に嫌がらせをやめてほしかったと伝わると思った」と動機を語った。
 「やりたいこと…殺人夢…ワイドショー独占」「車で突っ込んで、車が使えなくなったらナイフを使いますみなさんさようなら」。ネット掲示板への書き込み通りに実行した加藤死刑囚に事件後、派遣の代表として「神」と称賛する書き込みがネット上で相次いだ。
 東京地裁は判決で「動機は身勝手極まりない。人間性を感じられない残虐な犯行だ」として死刑を言い渡した。東京高裁も「責任は誠に重大」と地裁判決を支持。最高裁は「動機や経緯に酌量の余地は見いだせない」として上告を棄却した。

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