コメは家計防衛の味方!物価高でも値下がり 外食需要減少に肥料・燃料高騰で生産者には打撃

2022年7月28日 06時00分
 食料品の値上げが相次ぐ中、主食のコメは値下がりが続いている。農林水産省は生産者への飼料用米などへの転作を促してきているが、コロナ禍による外食需要の減少などが直撃しているためだ。収入減に苦しむ農家からは小麦などの高騰がコメを見直すきっかけになることを願う声が上がる。企業もコメの可能性に期待し、動きだしている。(寺本康弘、並木智子)

稲の生育をみる小倉和夫さん。米価下落により現状は厳しいと説明する=埼玉県加須市で

 埼玉県北部にある加須かぞ市の水田52ヘクタールでコシヒカリなどを生産する小倉和夫さん(70)は現在の米価下落の影響を「かなりきつい」と打ち明ける。小倉さんによると、昨秋に収穫したコメの販売価格は前年比で3割超も下落した。
 同省は27日、2022年産の主食用米の作付面積が前年より4.3万ヘクタール減少するとの見通しを発表。減少幅は同省が示す必要な目安の3.9万ヘクタールを上回り、米価が持ち直す要因になり得る。小倉さんも今秋の価格回復に期待するものの、今シーズンは肥料や燃料も15%ほど高騰。さらに来シーズンに向けて肥料価格は倍になりそうと農協職員から聞く。「このままでは米作りをギブアップするしかなくなる」と話す。
 コメの平均流通価格は1990年代前半には60キロ2万円を上回っていたがその後は下落傾向が続き、2019年産のコメは1万5000円台だった。食の多様化や人口減少などで需要が減っているのが要因。さらにコロナ禍が加わり、外食を中心にコメの消費が減った。
 最近の小売価格にもその影響は表れ、小売物価統計調査によると、2年前に比べて1割ほど値下がりしている。小倉さんは「もう少しご飯を食べてくれればありがたい」と消費拡大を願う。
 同省によると、コメの1人当たりの年間消費量は、2020年度は50.7キロで、ピーク時の1962年度の118.3キロの半分以下に落ち込んでいる。
 物価高騰が止まらない中で価格が安定しているコメに着目し活用する企業も出始めている。コンビニ大手のローソン(東京都品川区)は、「日本おこめぐり」として、北海道や石川県のコメ6銘柄を使ったおにぎりを、今月から来年5月まで2カ月ごとに販売。広報担当者は「ブランド米の知名度を上げ、消費拡大につなげたい」と話す。
 東京都も小麦高騰を受け、今月から米粉パンの普及を後押しするキャンペーンをJA全農にいがたや大手コンビニと協力しスタート。米粉パンを販売する店舗を都のホームページで紹介している。

◆家計防衛には和食を

 コメ以外にも豊作の野菜や魚介類など価格が高騰していない食材はある。自宅で料理をする際は、これらをうまく組み合わせることで値上げの影響を和らげる工夫もできそうだ。
 農林水産省によると、東京都中央卸売市場では現在、キャベツやレタス、ジャガイモなどが平年と比べて安値で推移。一時は平年の2倍を超えていたタマネギの価格も4割高程度まで落ち着いてきている。
 コメを中心に和食の献立を意識することも家計防衛につながりそう。家計管理アドバイザーの平塚千晶さんは「和食は塩、しょうゆ、みそ、砂糖など基本的な調味料でなんとかなる。洋食は凝ると調味料の種類が増え、バターや小麦粉、油といった値上がり幅が大きな食材もよく使う」と指摘する。
 「お米はエネルギーを効率良く補給でき、ダイエットにも適している」と語るのは管理栄養士の大槻万須美さん。「おかずを準備するのが大変な場合は、ご飯とみそ汁に卵や納豆を加えるだけでも栄養バランスは整う」と助言する。

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