トウキョウX 流通不安 豚コレラワクチン 都容認なら移動制限

2019年10月5日 16時00分

東京都が開発した高級ブランド豚「トウキョウX」=青梅畜産センター提供

 豚コレラの感染拡大を受け、農林水産省が従来禁じてきた予防的ワクチン接種を容認する方針を示したことで、東京の高級ブランド豚「トウキョウX」を生産する都外の農家が危機感を募らせている。接種するかどうかは都道府県が判断することになっていて、東京都が接種を認めると、都外の農家が都内から購入している種豚の移動が制限される可能性があるためだ。小池百合子都知事は四日の定例会見で接種に前向きな姿勢を表明した。 (布施谷航)
 トウキョウXは名前こそ「東京」だが、流通肉の九割は山梨、群馬、茨城、宮城四県の農家が生産している。各農家は都農林水産振興財団の青梅畜産センター(東京都青梅市)から種豚となる親豚を定期的に購入し、繁殖させた子供世代を販売している。農水省がワクチン接種推奨地域に指定しているのは関東で埼玉県のみだが、群馬県の追加指定を検討している。
 全国のトウキョウX生産者でつくる「TOKYO X生産組合」の沢井保人組合長は「東京がワクチン接種を認めたら、接種していない生産地に親豚を移動できなくなってしまう」と不安を口にする。
 農水省によると、都内がワクチン接種を認める地域(接種地域)となった場合、別の接種地域への豚の移動は可能だが、認めない地域(非接種地域)への移動はできない。一方、東京が非接種地域の場合、別の非接種地域への移動は可能。接種地域であっても到着後にワクチン接種すれば移動は認められる。精肉や加工品は域外への流通を事実上、容認する。
 国が接種地域の豚の流通を制限するのは、ウイルス感染した豚とワクチン接種豚の区別が難しく、感染豚を間違って域外に出荷してしまう恐れがあるからだ。接種地域になると販路が制限されるなどデメリットがある。
 もしも都から生産農家のいる県への移動が制限されれば、都外の農家は新たな種豚を入手できなくなり、トウキョウXの生産が途絶える可能性もある。
 個体差はあるが、トウキョウXのメスが繁殖できるのは四、五年。一方、いったん移動制限がかかると、解除は数年単位になる可能性もあり、その間にトウキョウXの生産から手を引く農家も出かねない。
 沢井組合長は「生産者や小売業者は、来年の東京五輪・パラリンピックに向けて海外への知名度アップを狙っている。各知事に判断を丸投げするのではなく、本州で一体的にワクチンを接種するなど、国主導で決断してもらいたい」と訴えている。
<トウキョウX> 都畜産試験場が1997年に開発した豚の品種。品質は世界的なブランド豚に匹敵するとされ、2018年度は1万146頭が出荷された。開発当初は都内の養豚農家だけで生産していたが、都内の養豚農家は八王子市や町田市などの6戸に減少。現在は都外での生産が主流となっている。

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