地域で格差も 英語民間試験に不安だらけの高校生 「延期して」文科省に訴え
2019年10月2日 11時14分
二〇二一年一月から始まる大学入学共通テストで英語民間検定試験が利用されることを巡り一日、国会内で野党の合同ヒアリングが開かれ、高校生五人が文部科学省の担当者へ延期や見直しを訴えた。制度が複雑で試験日程や場所、どの大学が利用するかなど基本的なことが決まっておらず、住む地域や経済状況による格差も指摘されている。
千葉県の公立高校二年男子生徒は「情報が伝わってこない。従来型の英検が入試に使えると勘違いしている友達もいた。延期してほしいのが多くの高校生の生の声」と語った。
香川県の高三女子生徒は電話で参加。浪人した場合は翌年の受験で制度が激変するため「安全圏で受験しないといけないのではと迷って進路が決められない」と話した。「地方では受けられる民間検定試験の種類が少なく、試験会場へ行く交通費も時間もかかる」と実情を語り「どうしてここまで地域格差や経済格差が露骨に出るものをやるのか」と訴えた。
ヒアリングには予備校講師二十八人でつくるグループも出席し、代表世話人の吉田弘幸さんは、東京都内のある私立高校で二年生二百三十四人を対象に行ったアンケート結果を説明。
九割以上が共通テストに不安を感じ、八割以上が延期や現行のセンター試験の継続を望んでいた。共通テストを延期しても「全く困らない」という回答も74%に上り、民間検定試験の利用を中止し、センター試験継続などを求める要望書を西田憲史・大学振興課長へ手渡した。
吉田さんは「実際に生徒に接している私たちの感触ではほとんどの生徒がものすごい不安にかられている。時間をかけてしっかり体制を整え、不安のない形で行うべきだ」と話した。(柏崎智子)
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