木更津の金鈴塚古墳 市教委など研究まとめた書籍出版 日本唯一「純金の鈴」出土

2022年8月1日 07時10分

金鈴塚古墳で出土した「金鈴」=木更津市太田の市郷土博物館金のすずで

 日本で唯一、純金の鈴「金鈴(きんれい)」が出土した千葉県木更津市の古墳・金鈴塚古墳について、同市教育委員会と国立歴史民俗博物館が二〇一一年から九年かけた共同研究事業の成果報告書「金鈴塚古墳と古墳時代社会の終焉(しゅうえん)」(六一(ろくいち)書房)が出版された。金鈴をはじめとした豊富な副葬品の意義を考察している。(山本哲正)
 金鈴塚古墳は、同市長須賀地区の長須賀古墳群の一つで六世紀後半の前方後円墳。この地方を治めた馬来田国造(まくたこくぞう)か、国造に直結する一族の者が埋葬されたとみられる。墳丘長九十メートルと大型だ。
 墳丘の大半は失われたが横穴式石室からの出土品は、鈴のほかにも、飾り大刀(たち)が約二十振で全国最多の量と種類を誇るなど豊富だ。全体では目録で四百九十件、個体で九百六十一件、破片まで数えると六千点を超える。
 鈴は主に関東地方で出土するが、銅に金メッキしたものがほとんど。その数も金鈴塚が最多で五十九点以上ある。金でできた鈴の出土は金鈴塚が唯一で、直径一センチ前後の小型の鈴が五個あった。

金鈴塚古墳=木更津市で

 同書では、鈴付きの大帯は地域最上位層の装束で、「金鈴は王権中枢部でもみられない希有(けう)の品」とした。後の時代の律令(りつりょう)期から現在まで受け継がれる神祀(まつ)り祭具の直系の祖に当たる鈴が東国に多いことは「東国の役割が決して小さなものではなかったことを示唆する」とまとめている。
 新刊は、国立歴史民俗博物館研究部の上野祥史准教授が編集。上野さんや、市郷土博物館金のすずの稲葉昭智副館長ら約十人が執筆した。金鈴塚古墳は一九五〇年から一年間の調査を経て、五九年に出土品が国重要文化財に指定された。今回はそれ以来の調査で、稲葉さんは「今回の調査で全体像が分かった」と話している。B5判二百六十九ページ。税込み四千四百円。六一書房のサイトで注文できる。

「金鈴塚古墳と古墳時代社会の終焉」


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