発熱外来「パンク状態」 受診の目安は? 医療逼迫改善へ例示

2022年8月4日 06時00分
 新型コロナの流行「第7波」の拡大で発熱外来や救急医療の逼迫ひっぱくが続く中、医療側から状況の改善を図ろうとする動きが出てきている。日本感染症学会など4学会は緊急声明を発表し、医療機関の受診の目安を示した。重症化のリスクが低く、症状が軽ければ「検査や薬のために医療機関を受診することは避けて」と訴えている。
 4学会の代表者が2日、厚生労働省で記者会見した。日本プライマリ・ケア連合学会の大橋博樹副理事長は、川崎市の多摩ファミリークリニック院長で発熱外来を開設している。「発熱外来で1日に診察できる40人の枠がすぐ埋まり、その後受診を希望する100人以上を断っている状況が続いている」と厳しい現状を明かした。
 声明では、オミクロン株による感染では症状は2〜4日で軽くなり、重症化する人は数千人に1人程度と指摘。医療機関の受診の目安は、症状が重い▽65歳以上▽妊娠中▽基礎疾患がある▽37.5度以上の発熱が4日以上続く—のいずれかに当たる場合とした。重い症状としては、水が飲めない▽ぐったりして動けない▽乳幼児で顔色が悪い—などを例示した。
 目安にあてはまならい人は、受診しても薬局で買える解熱剤などの処方が中心になるという。急いで受診する必要はなく、自宅での療養を呼びかけた。
 受診目安の1つに挙げられた「37.5度以上の発熱が4日以上」は、2020年の流行初期にも相談・受診の目安とされていたが、受診抑制を招くなどの批判が出て見直された経緯がある。大橋副理事長は「あくまでも目安。4日以上続かなければ受診できないわけではない」と説明。「医療の逼迫を改善するために、体調が悪ければまずは自宅で療養をとの風潮が広まってほしい」とした。(榊原智康)

◆都は陽性者登録センターへ若者誘導◆

 新型コロナウイルスの感染拡大を受け、感染が疑われる患者を診る東京都内のクリニックの業務が逼迫ひっぱくしている。新型コロナ患者の対応に忙殺され、地域のかかりつけ医としての役割にも支障を来すほどだ。都は3日、新型コロナ患者の発熱外来を担うクリニックの負担軽減に向けた陽性者登録センターを開設した。重症化リスクが低い20代を対象に自主検査とオンラインでの届け出を求める。

新型コロナの疑い患者を診療する伊藤博道院長=2日、東京都北区で(伊藤院長提供)

 「現場は度を越えたパンク状態だ」。いとう王子神谷内科外科クリニック(北区)の伊藤博道院長は訴える。地域住民の生活習慣病などの通常診察に加え、1日当たり15人の新型コロナ患者診察枠を設ける。
 クリニックの電話はひっきりなしに鳴り続け、ピークの7月下旬は1日約250件に上った。午前9時半の受け付け開始と同時に、新型コロナ診察枠は埋まり、毎日100人以上の診察を断る。ただ、重症化リスクがある患者は見逃さないよう、クリニックのスタッフが1人1人に電話で状況を確認。臨月の妊婦や高齢者は追加で診療してきた。
 新型コロナ以外の患者からの電話もつながりにくい。伊藤院長は「地域のクリニックとして限界を超えた。新型コロナ以外で苦しい思いをする患者に応えられなくなっている」と明かす。
 都が開設した陽性者登録センターはウェブサイトのみの運用で、自主的に検査し、陽性判定が出た20代のみの届け出を受け付ける。医師2人が検査キットの写真と症状を基に陽性診断し、保健所に報告する仕組みだ。利用できる検査は、都の無料のPCR検査や医療用の抗原定性検査で、希望者には都が検査キットを無料で配送する=都の専用ウェブサイト。都の担当者は「医療が必要な人が受診できるよう、軽症で若い人はセンターの利用を検討してほしい」としている。(加藤健太、佐藤航)

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