旧統一教会、参政党にゼレンスキー大統領…複雑に絡む沖縄県知事選 オール沖縄VS自民が一転混迷

2022年8月5日 06時00分

沖縄県宜野湾市の中心部にある米軍普天間飛行場

 今年、日本復帰50年を迎えた沖縄県。基地問題を左右する知事選が25日に告示される。前回同様、オール沖縄が推す現職の玉城デニー氏、自民党の支援を受ける前宜野湾市長の佐喜真淳氏の対決が見込まれたが、情勢が動いた。元衆院議員の下地幹郎氏が出馬表明したのだ。それにとどまらず、参政党やウクライナのゼレンスキー大統領、さらに世界平和統一家庭連合(旧統一教会)も複雑に絡む。混迷ぶりを増す沖縄の今を追った。(特別報道部・木原育子、宮畑譲)

◆下地元衆院議員が衝撃の出馬表明

 「申し上げたことがあるかもしれません…」
 一瞬、微妙な空気が流れた。下地氏が毎日開くオンライン会見。4日には、米軍普天間飛行場(宜野湾市)の名護市辺野古移設を巡る2019年の県民投票について質問を受けた。
 反対票が7割超に上ったのに対し、当時の下地氏は「投票に行かなかった人を加えれば、『反対』以外の人の方が多い」という趣旨のツイート。ネット上では「ミキオ算」と称された。
 会見の回答も注目されたものの「県民投票はタイミングもずれていました」「県民投票をやることそのものが政局になっていた」とうまくかみ合わなかった。

出馬表明した下地幹郎氏=YouTubeより

 そんな下地氏だが、7月13日の出馬表明は衝撃が大きかった。移設反対の玉城氏と、容認の自民が支援する佐喜真氏による事実上の一騎打ちと思われていたからだ。下地氏は「辺野古移設を止める」と掲げる。気合の入れようも尋常でなく、出馬表明の様子はワシントンから動画配信したと説明しており「ホワイトハウスと調整しなければ、協議をしなければ沖縄問題は解決しません」と訴えた。
 下地氏はどんな人物か。
 宮古島市生まれの下地氏は家業の建設会社の役員を経て、1996年の衆院選で自民公認で初当選した。ただ、その後は紆余曲折があり、2005年の離党後は国民新党や日本維新の会を渡り歩いた。20年には、カジノを含む統合型リゾート施設(IR)事業を巡る汚職事件に関連し、中国企業の元顧問から100万円の選挙資金を受領したと発覚。立件は見送られたが、21年の衆院選で落選した。

◆誰も基地問題に明快なビジョン示さず

 同氏の出馬は知事選にどう影響するか。直近の参院選沖縄選挙区(改選数1)ではオール沖縄側が自民側に3000票差で辛勝。同じ構図なら接戦の様相だが…。
 沖縄国際大の前泊博盛教授(基地経済論)は「参院選の選挙期間があと3日あれば自民が逆転したと言われる」と語る一方、「オール沖縄にとっては下地氏の出馬で保守票が割れると歓迎ムードが漂う」と続ける。その上で「今回は復帰50年の知事選。何のための復帰だったか原点回帰の選挙だが、どの候補も基地問題に明快なビジョンを示せていない」とくぎを刺す。

◆参院選沖縄選挙区で2万票余獲得

 気になると言えば、新興政党の参政党もだ。参院選沖縄選挙区で新人候補が2万票余を獲得した。知事選でも彼らの出方が勝敗を分ける可能性もある。
 20年4月結成の同党は「天皇を中心に一つにまとまる平和な国をつくる」「外国資本による企業買収や土地買収の対策」などと掲げる。選挙プランナーの松田馨氏は「既成政党へのアンチテーゼで生まれた党。支持層は無党派。これまで政治に関心がなく、選挙にあまり行かなかったような層が多い。党が政策協定を結んでも自主投票に近い感じになるだろう」とみる。
 党副事務局長で石川県議の川裕一郎氏は「政策協定を結ぶかは分からない」と述べた上、「まだ知事選候補を擁立できるほどの組織力はない。党としてはまずは地方議員を増やし、支持基盤を固めたい」と語る。
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