ICAN事務局長 核軍縮へ「日本は架け橋になれない」 核兵器禁止条約に言及しない岸田首相を批判

2022年8月6日 06時00分
3日、米ニューヨークの国連本部で核廃絶への思いを語るICANのベアトリス・フィン事務局長=杉藤貴浩撮影

3日、米ニューヨークの国連本部で核廃絶への思いを語るICANのベアトリス・フィン事務局長=杉藤貴浩撮影

 【ニューヨーク=杉藤貴浩】核拡散防止条約(NPT)再検討会議が開幕したのを受け、2017年のノーベル平和賞を受賞した核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)のベアトリス・フィン事務局長(39)が本紙取材に応じた。フィン氏は岸田文雄首相が演説で核兵器禁止条約に言及しなかったことを「被爆者に無礼」と批判。現状では「日本は保有国と非保有国の架け橋になれない」と断じた。
 フィン氏は、首相が核廃絶への行動計画に「ヒロシマ・アクション・プラン」と名付けたことを疑問視。「被爆者が望む条約批准を含まない計画に広島の名を使った」とし、「演説は日本人の核軍縮への強い意志をもっと反映させるべきだった」と述べた。カナダ在住の広島被爆者サーロー節子さん(90)も演説直後「大切なことが含まれていなかった」と失望感を示した。
 日本は核保有国の米英仏中ロも加盟するNPTが核軍縮の原点として、非保有国のみが参加する核禁条約には6月の締約国会議にオブザーバー参加もしなかった。フィン氏は「ドイツやノルウェーは日本と同様に米国の核の傘下にあるが、(オブザーバーとして)建設的に関与した」と指摘。「向こう側に渡ろうとしない日本に橋を架けることはできない」と述べた。
 一方、首相が若者教育を唱えたことを評価。日本の若い世代へ「民主主義を通じ、政治家が再選したいなら核廃絶に向けて何かしなければならないと要求してほしい」と訴えた。

 ベアトリス・フィン スウェーデン南西部イエーテボリ出身。非政府組織(NGO)「婦人国際平和自由連盟」の軍縮問題担当を経て、2014年から現職。ロンドン大大学院で法学修士。ICANは平和や人権問題などに取り組む100カ国以上の団体から構成されるNGO。本部はスイス・ジュネーブ。日本からは「ピースボート」などが参加し、川崎あきら共同代表が国際運営委員を務める。

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