テレワーク二極化 在宅がストレスに→対面重視で出社回帰 自由な働き方に社員満足→コロナ後も推進

2022年8月6日 06時00分
 新型コロナウイルス流行の第7波が猛威を振るう中、テレワークへの企業の対応が割れている。継続しコロナ後も好きな場所に住みながら働けるよう制度を整える企業が出てきている一方で、対面のコミュニケーションを重視し原則出社に戻す企業も目立ち始めている。感染対策として導入が進んだテレワークは転換期を迎えている。(押川恵理子、妹尾聡太)
 ホンダ(東京)は5月から、新型コロナ対応として取り入れていた「原則テレワーク」をやめ、出社を基本とする働き方に切り替えた。広報担当者は創業時から現場、現実、現物を重視しており「オンラインだけではスピード感を持って進められない」と説明する。
 ただ、働く側からは「より良い働き方は一人一人異なる。働き方を一方的に決めないでほしい」との声も。栃木県で働く男性社員は出社を基本とすることで「優秀な従業員が辞めたり、就職先に選ばれなくなったりすれば、会社にとって損失につながる」と嘆く。
 楽天も、原則テレワークを改め、昨年11月から、従業員に「週4日以上の出社」を促す。担当者は出社の必要性を「長引く在宅勤務にストレスを感じる従業員もいる。感染防止を徹底してチームワーク向上につなげたい」と話す。

テレワークが進み出社する従業員が減ったNTTコミュニケーションズでは、オフィスを社内外の交流や新規事業を促進する拠点としている=1日、東京都千代田区の大手町プレイスウエストタワーで

 一方、NTTグループはコロナ後もテレワークを基本とし、出社を「出張扱い」とする。全国どこでも好きな場所に住みながら働ける制度を7月に創設。出社の交通費と宿泊費は会社が負担する。全従業員約18万人のうち3万人が対象。転勤や単身赴任を伴わない働き方を拡大する。
 NTTコミュニケーションズも既に従業員の8割がテレワークを採用。職場の意思疎通や仕事の「見える化」など、環境を整えて働き方の自由度を高めた結果、2020年度の社内調査では従業員の満足度が過去最高となった。
 東芝は5月、国内連結子会社の従業員約7万人のうち事務部門など約4万4000人を対象に在宅勤務か出社かを選べるよう見直した。
 日本生産性本部が7月に実施した調査によると、テレワークの実施率は16.2%と、20年5月の31.5%から大幅に低下した。
 日本総研主席研究員の山田久氏は「テレワークは生活と仕事を両立させて働きやすいという利点があるが、チームワークや人材育成面が難しいという課題もある。各企業が最適解を模索する中で、対応が分かれてきている」と指摘した。

◆デジタル格差、進まぬ中小企業

 大企業でもテレワークへの対応は割れてきているが、中小企業ではよりテレワークの導入が進んでいない。政府はこれまで補助金などで支援してきたが、企業間のデジタル格差は依然大きい。
 コロナ禍以降、政府や自治体は感染対策として中小企業向けにテレワーク導入の相談窓口を設けたり、IT機器の導入などに補助金を出したりと支援してきた。
 だが、帝国データバンクの調査(今年2月)によると、テレワークの利用率は従業員300人超の企業が57.6%だったのに対し、101〜300人が48.7%、51〜100人が34.4%と規模が小さくなるほど低かった。こうした傾向を担当者は「従業員数の多い大企業は中小企業よりも費用面の余裕がある。仕事の進み具合を把握できるシステムなどを導入している企業が多いため」とみている。
 慶応大の大久保敏弘教授(国際経済学)は中小企業ではテレワークだけでなくネット通販への参入などもハードルが高いといい「政府は中小企業にただ補助金を出すのではなく、デジタル化が進むように中小企業に合併を促すなど知恵を絞った方がいい。デジタル化やグローバル化が進む中でどう生き残らせていくか。しっかり対策を取る必要がある」と話す。

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