安倍元首相の後方警護、演説直前に配置換え 警察庁「容疑者の接近許した一因」

2022年8月6日 06時00分
 安倍晋三元首相が奈良市で街頭演説中に銃撃され死亡した事件で、警察庁は5日、安倍氏の後方警戒要員だった唯一の警護員が演説直前、別の警護員の判断で前方警戒要員に切り替えられていたと明らかにした。後方警戒要員がいなくなったことは現場で共有されていなかった。同庁は「容疑者の接近を許した一因になった」としている。(池田悌一、山田雄之)
 警察庁が事件後、当時の警護・警備状況を具体的に説明したのは初めて。同庁の「検証・見直しチーム」は今月下旬に再発防止策を取りまとめる方針で、途中経過として説明した。
 事件は7月8日午前11時半ごろ、奈良市の近鉄大和西大寺駅前で発生。ガードレールに囲まれた場所で安倍氏が演説を始めて間もなく、後方から歩いてきた山上徹也容疑者(41)が安倍氏に2発発砲した。
 警察庁によると、現場で警備に当たっていたのは10数人で、安倍氏周辺には4人の警護員が配置されていた。奈良県警が事前に作った警護計画では、警視庁から派遣されたSP(警護員)と県警の警護員2人の計3人が、ガードレール内で前方の聴衆を警戒することになっていた。
 もう1人の県警警護員は、ガードレールの外で安倍氏の後方を主に警戒する役回りだったが、演説の直前、別の警護員に口頭で指示され、ガードレール内で主に前方を警戒することに。指示した警護員は検証・見直しチームに「聴衆の規模が膨らんできたため移動させた」と説明しているという。
 配置変更は無線で共有されず、新たな後方警戒要員は配置されなかった。警察庁は「現場での意思疎通が不十分だったことが警戒の隙を生む一因になった」としている。
 同じ場所では6月25日、自民党の茂木敏充幹事長も街頭演説しており、安倍氏の警護計画はこのときのものと酷似していたという。同庁は「安易に踏襲したのではないか」とみており、警護計画の検討状況についても調査を進める。

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