中国、8項目で対米協力中断 メディアは「制裁」追加を示唆 米高官は「非常に無責任だ」と非難

2022年8月6日 21時23分
 【北京=新貝憲弘】中国政府は、米国のペロシ下院議長の台湾訪問に抗議する対米制裁に乗り出した。中国外務省は5日に軍事や司法、気候変動など8項目の米中協力について取り消しまたは停止すると発表した。中国メディアは追加措置も示唆している。
 人民日報系の中国紙・環球時報は、8項目のうち軍事交流に関する3項目の取り消しについて「中米の軍事面の相互信頼が谷底まで落ちたことを意味する」との専門家の見方を伝えた。今後の関係は「米軍が西太平洋地域でどのような行動を取るかによる」と指摘している。
 軍事面以外の気候変動や禁止薬物、不法移民の送還などの米中協力は、米国側から中国側に協力を要請した分野だ。その停止は「懲罰的な措置」と主張し、米国に対して「どのような対中関係が必要なのかを冷静に、しっかりと考えるシグナルになる」としている。
 今回の制裁に経済分野は含まれていないが、同紙は「両国関係が悪化すれば、さらに制裁が増えるだろう」とも報道。米中は7月、イエレン財務長官と劉鶴りゅうかく副首相が対中経済制裁を巡ってオンラインでの協議を開始していた。

◆カービー氏「中国が挑発的な軍事演習を止めれば緊張緩和」

米国家安全保障会議(NSC)のカービー戦略広報調整官=AP

 【ワシントン=浅井俊典】米国家安全保障会議(NSC)のカービー戦略広報調整官は5日、中国がペロシ下院議長の台湾訪問に対する制裁措置として軍事や刑事・司法、気候変動など8分野で米国との協議を停止すると発表したことについて「非常に無責任だ」と非難した。台湾を巡って米中の緊張が高まる中、偶発的な衝突回避のために「対話を維持する努力をする」と強調した。
 カービー氏はオンライン会見で「われわれは危機を望んではいない。中国が挑発的な軍事演習を止めれば、緊張緩和に向けた道のりを歩むことができる」と中国側に自制を求めた。軍事関係については全ての対話チャンネルが閉ざされたわけではないと説明し、引き続き意思疎通の機会を模索する考えを示した。
 協議停止に含まれる気候変動への対応は、7月28日の米中首脳による電話協議で両国が協力できる分野であることを確認したばかりだった。カービー氏は「世界最大の温室効果ガス排出国である米中両国が気候変動問題を協議しなければ、世界全体を痛めつけることになる」と批判した。
 また、米ホワイトハウスに中国の秦剛しんごう駐米大使を呼び出し、台湾周辺での大規模な軍事演習に抗議したことも明らかにした。

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