<記者だより>写真の力

2022年8月7日 07時08分
 小豆島の写真館でヒロインは1枚の写真を目にする。赤ん坊だった自分を誘拐した女と幼い自身が寄り添う姿が写っていた。突然、記憶の封印が解かれ、女から愛情を注がれ、幸せだった思い出があふれ出す。ヒロインはその記憶を心の支えに前に進もうとする。
 映画「八日目の蝉(せみ)」のラストシーンだ。現実の世界でも写真に不思議な力があると思うときがある。東日本大震災の被災地で写真の修復ボランティアが感謝されたのも、一枚一枚に人それぞれの大切なドラマがあるからなのだろう。
 6月に神奈川県内の写真師の団体による「写真供養」を取材した。家族や友人らが亡くなり、不要となった写真でもゴミとして捨てることに抵抗を感じる人が少なくない。最終的に約1万7000枚の写真とアルバム97冊の供養の依頼があった。
 お寺での法要に参列した川崎市の女性(73)は、終活の一環で姉の遺影などを依頼した。「笑顔がとても良い遺影で、何度も励まされました」と語り、供養のおたき上げの炎に手を合わせていた。(阿部博行)

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