八王子中2自殺、調査報告書 いじめ直接関連を認めず

2019年8月31日 02時00分

報告書公表を受けて報道陣の取材に応じる父親の永石洋さん=30日、東京都八王子市で

 東京都八王子市で昨年八月に市立中学二年永石陽菜(ひな)さん=当時(13)=が自殺した問題で、市教育委員会は三十日、第三者による調査部会の報告書を公表した。所属していた陸上部内のいじめが自殺の一要因となったものの、直接的な関連性は「認められない」と判断。両親は「納得がいかない」とのコメントを発表した。 (布施谷航)
 報告書によると、二〇一七年の夏休み、けがで部活を休みがちになった陽菜さんが会員制交流サイト(SNS)で家族旅行することを投稿したところ、SNS上で上級生から「自慢ですか」などと非難された。二学期から不登校になり、昨年四月に市内の別の中学に転校した後も不登校が続き、八月二十八日、JR西八王子駅で電車に接触し、二週間後に死亡した。
 報告書は「いじめは不登校の原因」としつつ、「自殺まで相当な期間が経過している」として直接の関連性を否定。調査部会長の松浦信平弁護士は記者会見で「理想の自分と不登校の自分とのギャップなどが複雑に絡み、自殺に至ったのではないか」と話した。
 学校の責任に関しては、不登校になった直後の一七年九月に陽菜さんと両親から相談があったことを踏まえ、「十月には重大事態として把握される必要があった」と指摘。校内にいじめ対策組織はあったが、「全く機能しなかった」と批判した。SNS上でいじめが起きたことには「いじめを増長する一つのツールになっている。大人が確認し、管理、指導すべき部分がある」と問題提起した。
 会見に同席した市教委の安間英潮(やすまひでしお)教育長は「多大な不安や心配をかけた。市民、関係者におわび申し上げる」と謝罪した。
 調査部会は昨年十一月から、陽菜さんが通っていた中学の生徒や教職員ら計五十七人に聞き取りを行った。市教委は両親の意向を確認したうえで、報告書を公表した。

◆父親、取材応じる「最初に真剣な対応あれば」

 報告書の公表を受け、陽菜さんの父の永石洋(ひろし)さん(57)は三十日、コメントを出すとともに市内で報道陣の取材に応じた。報告書がいじめと自殺の直接的な関連を認めなかったことに「かかわりがないはずはない」と悔しさをにじませた。
 「頑張るからね」。陽菜さんが電車と接触してから一年となる二十八日、事前に報告書の概要の説明を受けていた洋さんは、娘の仏前にそう語り掛けた。報道陣とのやりとりでは「調査部会は精いっぱいやってくれた」と一定の理解を示した。一方で「最初に学校に相談をした時に真剣な対応をしてくれていたら、こんな結果にはならなかった」と憤り、「再調査を求めるか、法的手段に訴えるかなどは代理人と相談して検討したい」と語った。
 「時間がたちすぎれば証拠はなくなり、人の記憶もあいまいになる」と洋さん。「第二、第三の陽菜を出してはならない」との思いは強く、事実の解明を求め続けていくとした。 (服部展和)

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