「被災地の希望」を体感 福島、ホープツーリズム広がる

2019年8月23日 16時00分

福島県富岡町夜の森地区を訪れ、住民避難が続く状況などについて、地元の女性(左端)から説明を受けるツアー参加者ら=2018年10月(福島県観光物産交流協会提供)

 東日本大震災と東京電力福島第一原発事故からの復興に取り組む福島県が進める「ホープツーリズム」(希望の旅行)が広がりを見せている。被災地を見るだけでなく、復興に携わる人々との対話を通じて旅行者に自ら考え学んでもらう新しい形のツアーだ。県観光物産交流協会はホープツーリズムを商標登録。民間の旅行会社とも連携し、被災地の再生を後押ししていく考えだ。
 欧米では、一九七〇年代にポル・ポト派の大虐殺があったカンボジアや、八六年に爆発事故を起こした旧ソ連のチェルノブイリ原発など、悲劇の現場や“危険地帯”を旅する「ダークツーリズム」が若者の間で流行。英語のウェブサイトには、原発事故の影響を誇張し、福島をダークツーリズムの対象とみなす記述や動画が今もみられる。
 ホープツーリズムは、風評被害が残る福島の現状など、ありのままの姿を見てもらう一方、復興に向けて挑戦を続ける人たちに触れて希望を感じてもらうのが目的。外国人向けに英語のサイトも三月に開設した。ホープツーリズムの名称の不適切な使用を防ぐため昨年十一月に商標登録を済ませたが、一定の条件を満たせば旅行会社に無料で使用を許可する方針だ。

福島県のホープツーリズム総合ガイドブック

 同協会が主体になって実施したホープツーリズムのツアーは二〇一六年度が三件、一七年度が二十二件、一八年度には五十三件と急増。その半数が高校生らを対象にした教育旅行だ。
 学校側が募った希望者二十~三十人が、津波と原発事故で避難を強いられた浪江町や南相馬市などをバスで二泊三日で巡り、消防や医療関係者らから当時の話を聞くのが標準的なツアーだ。廃炉作業が続く第一原発構内を視察することもある。
 参加した高校生からは「復興の傍観者ではなく関係者になりたい」「もっと福島のことを知りたい」などの感想が寄せられているという。同協会の武藤淳観光部長は「学校の授業ではできない体験が生徒たちの心に響くようだ。福島の現状を若い世代に直接見てもらうことに大変意味があると思う」と話している。

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