パキスタン男性、在留特別許可求め提訴 送還通知受け「妻の闘病支えたい」

2019年8月20日 02時00分

東京地裁に提訴し記者会見するモハメド・サディクさん(中)ら=19日、東京・霞が関で

 国から八月中に強制送還するとの通知を受けたパキスタン国籍の男性が十九日、がんで闘病中の妻の生活に支障が出るなどとして、人道的配慮から滞在を認める「在留特別許可」を求めて東京地裁に提訴した。男性は同日、会見し「来日して三十年以上。これからも日本で妻と幸せに過ごしたい」と訴えた。
 男性は神奈川県厚木市のモハメド・サディクさん(55)。サディクさんの話や訴状によると、母国で反政府活動に参加して命の危険を感じたため一九八八年、観光ビザで来日。二〇〇七年に日本の永住権を持つ中国籍の劉蘊傑(りゅううぇんじぇ)さん(59)と結婚したが、サディクさんは既に不法残留容疑で逮捕されるなどしていたため、永住権は得られなかった。
 その後も一時、入国管理局(当時)の施設に収容され、現在は刑事事件の保釈に当たる仮放免中だ。在留特別許可を再三求めてきたが、今年七月、出入国在留管理庁から「八月第五週に強制送還する」との通知が届いたという。
 妻は五年前から乳がんで闘病中で、サディクさんの支えが必要だ。反政府活動の影響で帰国すれば自らの命の危険もあるとして、提訴に踏み切った。
 東京・霞が関の司法記者クラブで会見したサディクさんは「妻の体調は不安定で、自分がいなくなったら命に関わる。支えたい」と険しい表情。劉さんも「国は思いを受け止めてほしい」と涙ながらに話した。
 国は四月から外国人労働者の受け入れを拡大した。会見に同席した指宿(いぶすき)昭一弁護士は「ここ数カ月、不法滞在者に強制送還の通知が続々と届いている。国は受け入れ拡大の半面、個々の事情にかかわらず強制送還する方針に傾いている」と話した。
 提訴について、出入国在留管理庁は「適切に対応する」とコメントした。 (小野沢健太)

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