国立のケヤキ、和太鼓に 樹齢100年超 五輪競技場建設で伐採

2019年8月16日 16時00分

伐採されたケヤキで制作中の樹根太鼓と浅野太鼓楽器店の浅野昭利代表取締役=石川県白山市で

 二〇二〇年東京五輪のメインスタジアムとなる新国立競技場の建設に伴い、伐採されたケヤキを和太鼓として復活させる計画が進んでいる。樹齢百年超の大木一本を、根元から五つに輪切りし、形を生かして五台の「樹根(じゅこん)太鼓」を制作。関係者は「五輪に訪れる世界中の人を太鼓の響きで歓迎したい」と開会式での演奏を夢見ている。
 「あとは太鼓の中をどこまで彫るか。それによって音が変わる」。八月上旬、石川県白山市の浅野太鼓楽器店で、浅野昭利代表取締役(72)は木の状態を確認しながら、仕上げを思案していた。
 五台のうち大きいものは直径が最大約百十六センチ、高さ約七十五センチ。木の自然な姿を生かそうと革を張るのは胴の上のみ。音の跳ね返りを生むには内側の彫り方が重要になるといい、大きく響かせるため漆を塗ることも検討する。浅野代表取締役は「変わった形の太鼓を作るのは面白い」と笑う。

伐採されたケヤキで作った飾り太鼓を手にする太鼓センターの東宗謙社長=京都市で

 制作を依頼したのは和太鼓教室を運営する太鼓センター(京都市)の東宗謙社長(70)。親交のあった木製の笛「コカリナ」の奏者黒坂黒太郎さん(70)が、伐採木を楽器に再生しようと提案したのがきっかけだ。
 「歴史あるケヤキを捨てるのはもったいない。五輪のレガシー(遺産)として残すべきだ」と東社長。黒坂さんと日本スポーツ振興センター(JSC)に掛け合い、一五年一月にケヤキなど約二十五本の譲り受けが決まった。
 虫食いなどが少なかった状態の良い十本程度を大型トラックで浅野太鼓楽器店の工場へ運搬。木が割れるのを防ぐため時間をかけて乾燥させ、表面を削る作業などは若手の職人らが一人一台ずつ担当した。細い木は飾り太鼓にした。
 樹根太鼓五台には、革の部分にそれぞれ五輪カラーの青、黄、黒、緑、赤を入れる予定で、完成は今年十月を見込む。東社長は「五輪のイベントで演奏し、世界に太鼓という日本文化を発信したい」と意気込んでいる。

建設が進む新国立競技場=1日、本社ヘリ「あさづる」から

関連キーワード


おすすめ情報