<つなぐ 戦後74年>戦争は絶対いけない 最年長・内田ハルさん(97)

2019年8月15日 16時00分

曾孫の広沢駿さんが押す車いすに乗って会場入りした最高齢の内田ハルさん

 「今年も会いに来ましたよ」。参列した遺族の中で最年長の内田ハルさん(97)=東京都八王子市=は、終戦の約二カ月前に沖縄で戦死した夫の憲司さん=当時(36)=に心中で語りかけた。
 神奈川県の旧津久井郡(現相模原市緑区)出身。幼少期に父親を病気で亡くし、養女として引き取られた伯母一家が営む下宿に、十二歳年上の憲司さんが住んでいた。当時、小学生のハルさんら下宿の子どもを山歩きに連れていくなど面倒見が良かった憲司さん。一九四一年に結婚し、翌年に長女も授かった。
 県蚕業検査所の職員だった憲司さんは結婚から一年余りの四三年に召集された。数カ月に一度は帰宅したが、家族にも軍のことは話せないとして夫婦らしい会話はできなかった。それでも四四年に沖縄に赴任後も手紙は何度も届いた。
 「娘の望むように学校へ行かしてやってくれ」。憲司さんが生前、手紙などで訴えていた願いを守り、戦後に公務員試験を受けて県職員となったハルさんは子育てに奮闘。長女忠子さん(76)を大学まで出した。
 毎年欠かさない全国追悼式への出席。「不思議と結婚してからより(憲司さんに)子どものころ山登りに連れて行ってもらった方が思い出される」。結婚生活は二年にも満たない。記憶に残らないほど一緒に過ごした時間は短かった。「私たちのように悲しい思いをしている人がたくさんいる。戦争は絶対に、しちゃいけない」 (井上靖史)

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