加藤登紀子さん「この道」連載を終えて 人生4幕目 縁の不思議に驚く

2019年7月31日 16時00分

「この道」執筆の苦労を語る加藤登紀子さん=東京都渋谷区千駄ケ谷で

 シンガー・ソングライターで女優の加藤登紀子さん(75)が本紙で連載した「この道」が三十一日、最終回を迎えた。加藤さんは「連載のためにさまざまなエピソードを整理してみると、思いがけない再発見があった」と語り、「二十五年を人生の一幕とすると、今が開いたばかりの四幕目。ここに繋(つな)がる人生の伏線が確かめられた」とも。同世代の読者には「皆さんもご自分なりの『この道』を綴(つづ)ってみたらいいのでは」と勧めている。 (仁賀奈雅行)
 連載は四月八日に始まり、九十三回を数えた。
 「盛り込むエピソードを選ぶのは、ベスト盤アルバムの曲選びと同じ。あれも入れたい、これも…と大変だった。小さい出来事でも印象に残っているものは書いておきたかった」
 それを書き連ねていくうちに気づいたことがあるという。「一つの出来事が、後の出来事の伏線になっていたことが何と多いことか。さまざまな出会いをいいものにしようと生きてきたけれど、振り返るとその縁が絡み合って、次の出会いに繋がっていた。改めて縁の不思議さに驚いた」
 一方、連載を通じて「楽曲で言えば重低音」のように流れていたのがロシアとのかかわりだった。
 「母が大陸に渡って『ロシア』と遭遇する。戦争もあり、戦後の混乱もあったが、亡くなるまでロシアとの交流に力を尽くした。亡くなる前、病床でロシアの歌を聴いている母の姿を見てこれが私の原点だと。『百万本のバラ』を歌ったり、シャンソンなどいろんな曲との出逢(あ)いの底流にロシアとのかかわりがあった」
 人生四幕目は「いよいよ自分のために人生を使える」という。
 「やり残したことにまい進できるすごく豊かな季節だと思う。でも、『さよなら』の数も半端じゃなくなってくる。一つひとつのさよならに、一人ひとりが生きた時間が詰まっている。人生の締めくくりに向けて、出会った人の人生が凄(すご)い重さで迫ってくる。だからさよならも大切に、一つひとつを受け止めていきたい。それがサブタイトルに付けた『あなたに捧(ささ)げる歌』の意味です」
 連載の打ち上げのようなコンサートが企画されている。「ハイジャックされた全日空機に同乗していたギターの告井延隆さんをはじめ、ほぼ半世紀前からともに音楽を創り上げてきたミュージシャン三人と久々に集うコンサートです。ぜひどうぞ」
 ◇ 
 コンサートは八月三日午後四時開場と同六時半開場の入れ替え制、東京都千代田区丸の内二の七の三、東京ビルTOKIA二階のコットンクラブで。料金は八千八百円。問い合わせはコットンクラブ=電03(3215)1555=へ。

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