LGBT暴露禁止 指針1割 都道府県・政令市の対応調査

2019年7月29日 02時00分
 同性愛などの性的指向や性自認を本人の了解なく第三者に漏らす「アウティング行為」を巡り、共同通信が全都道府県と全政令市に対応を聞いた結果、禁止を定める職員向けのマニュアルなどを作成しているのは一割にとどまることが、分かった。禁止する条例はいずれもなく、検討中もゼロ。職場に行けなくなるなどLGBTと呼ばれる性的少数者が深刻な被害に苦悩する状況も出る中、行政の対応が遅れている実態が確認された。
 専門家は「性的少数者への差別や偏見が根強く存在する中、アウティングは当事者の生活を破壊しかねない行為だ。行政が率先して対応する必要がある」と指摘。都道府県や政令市が危機感を持って対応を整備するよう求めている。
 一方、国は職場でのアウティング防止の指針づくりを今後検討する構えだが、現時点での対応は未整備で、地方自治体からは法制定を求める意見も出ている。
 この問題では、二〇一五年に一橋大法科大学院の男子学生が、同性愛者だと同級生に暴露された後に転落死する事案が発生。一橋大がある東京都国立市は一八年、アウティング禁止を盛り込んだ条例を全国で初めて施行している。民間団体にも相談が寄せられており、学校や職場に行けないケースも出ているという。
 こうした状況を踏まえ、共同通信は四~六月、全ての都道府県と政令市(六十七自治体)を対象に、アウティング行為に関する対応や被害防止に向けた禁止条例の有無を書面などで調査した。
 その結果、当事者にカミングアウトされた際のプライバシー保護やアウティングの禁止、窓口対応などでの性的少数者への配慮を定めた職員用マニュアルやガイドライン、ハンドブックを作っていたのは三重県や熊本県、千葉市や京都市など九自治体にとどまった。
 今後作成を予定していると答えたのは長野県や大分県、静岡市や岡山市、福岡市など七自治体。
 一方、福岡県や札幌市、北九州市などの十五自治体は、マニュアルなどはないものの、職員研修でアウティングの危険性について注意喚起していると回答。このうち川崎市は幹部が集まる会議の場でも、性的少数者の権利を啓発する民間団体が作成した資料や、性的指向・性自認のカミングアウトを受けた際の対応の仕方をまとめた市独自の資料を配布していると回答した。
<性的指向と性自認> 性的指向は、自分が好きになる性別がいずれかを表す概念(Sexual Orientation)のこと。性自認は、自分の性別をどう認識しているか(Gender Identity)を表す言葉。頭文字をとって「SOGI(ソジ)」とも言う。同性愛のレズビアンやゲイ、バイセクシュアル、心と体の性が一致しないトランスジェンダーといった性的少数者(LGBTなど)といった分類だけでない「性の多様性」を表す言葉として使われている。これらに関連する差別的な言動や嫌がらせは「SOGIハラ」と呼ばれており、アウティング行為も含まれる。

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