国際経済への影響小さい 指定当時の経産省幹部・細川昌彦氏

2019年7月27日 02時00分
 かつて韓国の「ホワイト国」指定に向け、経済産業省の貿易管理担当者として奔走した細川昌彦・中部大特任教授(64)=元中部経済産業局長=は本紙のインタビューで、「指定を外れても国際経済に与える影響は小さい」と冷静な議論を呼び掛けた。 (阿部伸哉)
 -韓国が「ホワイト国」となった経緯は。
 「欧米を中心に一九八〇年代から、軍事転用可能な物資を危険国に流出させない国際的な輸出管理の合意がある。『核』『化学・生物』『ミサイル』『通常兵器』の四つの枠組み。韓国はこのうち、日本の後押しで九六年に『ミサイル』を除く三つでメンバーとなったが、『ミサイル』に入ったのは二〇〇一年。これを受け日本は〇四年、韓国をホワイト国にした」
 -ミサイルの枠組みで韓国の参加が遅れた理由は。
 「米国が韓国の輸出管理を不安視していたから。それでも日本は各国を説得した。日本は『緊密な意見交換をする』という前提で韓国をホワイト国にしたが、この三年間、韓国は意見交換を拒否している」
 -なぜ当時、日本は韓国を後押ししたのか。
 「当時の韓国政府は『ここ(輸出管理の国際枠組み)に入ることは先進国の証し。どうしたら入れるのか教えてほしい』と頼んできた。私はソウルに何度も足を運んで輸出管理を教え、韓国側も真摯(しんし)に学んだ」
 -韓国は今回の日本の措置を「世界貿易機関(WTO)協定違反」と主張するが。
 「それならEU(欧州連合)は、(日本の『ホワイト国』に当たる)最上位八カ国に韓国を入れていないが、違反なのか。日本も〇三年以前は違反だったことになる。米国も、韓国を少なくとも最上位国とは扱っていない」
 -「半導体の国際供給網に打撃」との懸念は。
 「これは禁輸でも輸出規制発動でもない。原則は個別許可。正常な取引には平均四~五週間で個別許可が出る。台湾、タイ、中国、インドも個別許可だが何の問題も起きていない」
 -日本は韓国側に「不適切な事案」があったとするが、具体的な説明がない。
 「日韓の意見交換が三年もないだけで十分に問題。『不適切な事案』とは一般論だが、ある物資に『すぐに持ってこい』と急な発注が入ったり、不自然に大量発注が入ったりする事例がある」
 -日本政府は「元徴用工問題は関係ない」と主張するが、当初は関連づける発言もあった。
 「『元徴用工問題などで信頼関係が損なわれた』という背景説明は余分。本質論から外れ、『対抗措置』と報じられる悪い流れができてしまった。韓国世論の不必要な反発を招いてはいけない。対韓強硬派は制裁をしたいなら堂々と議員立法で対応するべきだ」
 <ほそかわ・まさひこ> 1977年、通商産業省(現経産省)入省。安全保障貿易管理課長、貿易管理部長、中部経産局長などを歴任。2009年から現職。

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