ハンセン病元患者家族の被害認定 救われる人も まだ偏見残る

2019年6月29日 02時00分
 東京都東村山市の国立ハンセン病療養所「多磨全生(ぜんしょう)園」では、全国ハンセン病療養所入所者協議会事務局長の藤崎陸安(みちやす)さん(76)が「法の正義があった」と判決を歓迎。「家族には入所者と同じか、それ以上の差別を受けてきた人もいる。裁判で争う前に国が気づくべきだった」と強調した。
 園内でレストランを経営し、二年前に藤崎さんと結婚した美智子さん(67)は「今も家族に元患者がいることを隠している人もいる。レストランで、つらい思いをしているご家族とたくさん出会った」と語る。
 元患者の石山春平(はるへい)さん(83)は、故郷を追われたり、一家で自殺をした人たちがいたことに触れ、「国が先頭に立って感染しないものを感染すると言い、差別を生んだ。何十年も苦しんだ家族を思うと、あまりに賠償金が少ないのでは」と指摘。「『患者の家族は三代にわたり差別を受ける』と言われてきた。私が悲しむから家族はあまり語らないが、息をひそめて生活していたと思う」と語った。
 元患者との交流会や裁判の支援をするハンセン病首都圏市民の会(東京都世田谷区)の酒井義一事務局長(59)は「国の責任を認めた点で、判決は評価できるのでは」と受け止める。
 活動の中で、家族に元患者がいると夫や妻に明かして離婚された人に何人も会った。関東に住む三十代の女性は、父親が元患者と知った夫に離婚を求められ、「菌」扱いされたとの証言を三月に同会に寄せ、「私たちの世代に苦しんでいる人がいると国に知ってほしい」とつづっていた。
 差別に苦しみ、患者だった父母を憎むまで追い込まれた人もおり、「判決が出たことで、悪いのは父母でも自分でもない、と救われる人がいるのでは」と酒井さん。一方で、差別が続く現状に「家族の声を聞いてこなかった世の中の冷たさを、あらためて考えるべきだ」と指摘する。 (竹谷直子、石原真樹)

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