無給経験の医師「患者の命が危ない」 激務で疲労、手術居眠り

2019年6月28日 16時00分
 「患者の命を危険にさらしている」。無給医を経験した東京都内の大学病院に勤める三十代の男性医師は、こう警鐘を鳴らす。契約では、給料は安いが働く時間も短いとされながら、実際は毎日がフルタイムの勤務。当直勤務を繰り返し、疲れ切って手術中に居眠りをしてしまうこともあったという。 
 男性は大学院に所属し、医局内の規定により一定の時期に大学病院で働くことが求められる。月給は数万円で勤務は月に十数時間のはずが、基本的に日曜を除いて午前七時から、長くて午後十時まで働いた。外来診療に加え、手術もこなさなければならなかった。
 卒業までに数百万円かかる学費や生活費のため、月の半分ほどがアルバイトの当直で埋まることも。「ずっと眠くて疲れ切っていた」。慢性的な睡眠不足のため、患者に聴診器を当てている時や、手術時に意識が飛んでしまう経験もした。
 職場には大学院に通っていない同僚医師もいて、同じような働き方で月給は数十万円。理不尽さを感じて上司に改善を求めたが「自分や金のことばかり考えてわがまま言うな。組織の論理に従え」と叱責(しっせき)された。
 医師としてのキャリアを築くため、大学院を辞めるつもりはなかった。多くの無給医がいることから、知人にはストライキさえ勧められたが「患者さんという人質を取られているから絶対できない。大学病院は人の善意につけ込んで搾取している」と漏らす。
 「無給でかわいそうな僕らを助けて、ということではない。睡眠不足などで仕事に支障が出て、手術中に倒れでもしたら、危ないのは患者さんの命だ」と男性。無給医の実態解明と抜本的な改善を訴えた。

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